あたりまえのことですが、会社で仕事をするということは、組織の一部として動くことを意味します。それゆえ、仕事を丸投げされることはよくあることです。
そういうとき、つぎのような気持ちになることはありませんか?
なぜ自分にこの仕事が任されたか
目的もゴールもよくわからない中で、奴隷仕事みたいだな
どうしていつも自分ばかり
このような思いを持つと、「会社の歯車になるのは嫌だ!」という気持ちになりがちです。自分から「やりたい」という仕事ではないから、後ろ向きな気持ちになりますよね。
自分の意思が全く反映されなず、自分の存在が機械の一部のように感じることから、「会社の歯車」という感覚になることは理解できます。
ただ、45歳を過ぎて、このような反応を逐一していることは、決して自分の価値を上げることにはつながりません。むしろ、マイナス効果の方が大きいです。
こういうときこそ、しっかりと仕事に取り組む。そして、自分の価値を下げないことが重要です。
1.なぜ「会社の歯車」と感じるのか
「会社の歯車になりたくない!」と言う人とお話しするときに、共通して感じることがあります。
それは、 「他人から認められていない自分」を自覚しているということです。
そもそも、会社で働くことは、組織の一員となって働くことにほかなりません。その意味で、会社を構成する一人ひとりは、自分の役割を果たす「歯車」といえます。
それに抗ったとしても、状況は変化しません。もそもの前提を受け入れ、前に進まなければいけません。
しかし、これに抗っている人は、会社組織のなかでは、マイナスの存在感が増してきます。
簡単に表現すると、「干されていく」人材になっていきます。
私は、人事に携わっていますので、このことを日々実感します。
辛いことですが、「他人から認められていない自分」を受け入れることから始めることが大切です。
逆説的にいうと、「他人から認められる自分」になるために「自分ができること」を探して、実行していくことが必要になるのです。
2.「会社の歯車」として自分のチカラを発揮する
かりに「認められていない自分」と感じているならば、仕事を丸投げされた時こそ、大きなチャンスです。
丸投げとはいえ、仕事がまわってくるということは、役割があるということです。その仕事の仕上がり次第で、次の役割を担うきっかけにつながります。
したがって、覚悟を決めて、自分のチカラを最大限、発揮することが求められます。
丸投げされた仕事を通して、自分の価値を高めるためのポイントは、以下の3つです。
1.与えれた仕事の枠にとらわれない
「私の仕事はここまでです。」という枠を設けて、その前工程と後工程を意識しないと、機械のごとく仕事を処理する作業系の歯車になってしまいます。
与えられた仕事を全体像でとらえる
そのために必要な情報は自ら取りにいく
関係する人たちとリアルなコミュニケーションする
こういう思考を少しずつ試し、実行すること、つまり、自分で考えるクセをつけていくことが必要です。
2.与えれた役割を他人が担う価値と比較しない
「あいつと比べると自分に与えられた役割は軽い感じがする。馬鹿にされている。」といったように他人の役割と比較しないことが大切です。
比較することで生まれる感情は、「ひがみ」「しっと」につながります。このことが、他人にもわかるレベルで表すと、間違いなく、自分の価値は下がります。器の小さな人間として評価されるからです。
与えらえた仕事を、価値あるものにするのは、ほかならず自分です。これができるようになると、「目の前のことに、真摯に取り組んでいる」姿勢や行動につながり、周囲もそれを感じるようになります。
自分の価値を下げることを望む人はいないはずです。
シンプルに「目の前のことに、真摯に取り組む」ことを、小さくとも実行し、続けることが非常に重要になります。
3.細かくホウレンソウする
とにかく関係する人たちと、対話することです。
ホウレンソウという言葉から、上司に対するレポーティングをイメージされるかもしれません。
確かにそれも含まれますが、上司以外との対話を実行するという意味でとらえてみて下さい。
対話が生み出す効果はあなどれません。
1.仕事の目的をリアルに理解できる
2.関係する人がどういう考え方であるか理解できる
3.自分がどういう考え方をしているか伝えることができる
簡単にいうと、組織で仕事をする上での「相互理解」が進みます。
「相互理解」が進めば、多かれ少なかれ、お互いに「承認する」ことができます。
お互いに「承認」し合うことができれば、自分で自分を承認できるようにもなります。
3.「会社の歯車」も悪くない
丸投げされた仕事を、自分のチカラを最大限発揮して仕上げることに集中すると、自分の価値を高めることにつながります。
1.仕事をしっかりやりきる人だと評価される
2.自分をしっかり持っている人だと評価される
3.話してみると、いいやつだと再評価される
指示されたことだけをやる「会社の歯車」ではなく、自分で考える「会社の歯車」になると、当事者意識もめばえてきます。
会社は、自分で考える「会社の歯車」が複数かみ合って日々動いています。その結果、大きな仕事が成し遂げられていくのです。
自分で考える「会社の歯車」になった自分をイメージすると、「会社の歯車」も悪くないと思いませんか。
4.まとめ ~自分で考える「会社の歯車」は、それほど多くない~
人は多かれ少なかれ自分の存在を大切にしてほしいという承認欲求を持っています。
会社という組織で、自分を認めてもらうためには、真摯な仕事への取り組みと自分でか考え、実行することが求められます。
まさに、「言うは易く行うは難し」。
それゆえ、自分で考える「会社の歯車」は、希少価値があります。
自分の仕事の捉え方を少しだけ変えることで、その希少価値を手にすることができます。
少しずつでも、仕事の向き合い方を変えれば、「他人から認められていない自分」ではなくなります。