転職を考え始めるきっかけは、人それぞれだと思います。
今よりもよりよい待遇を求めて、仕事を変えたい
自分が自分らしくあるために、仕事を変えたい
気まずい人間関係に悩まされている今の仕事を変えたい
また、自ら仕事を変える転職とは異なり、会社の命令で仕事を変えざるを得ないことがあります。想定していない職種、職場への異動や片道切符の出向辞令のように自分でコントロールできない境遇と対峙せざるをえない状況のことです。
いずれの場合も、仕事が変わるというキャリアの転換期を前に、その選択が自分にとってマイナスになるのではないかという不安を抱えることが往々にしてあります。
多くの人の転換期を見てきた経験から、この転換期を「いきおい」や「なんとかなる」といった精神論で乗り切ることは多くの苦痛をともなうことが多いように感じています。
定年年齢の引き上げや、公的年金の支給開始年齢の引き上げといった外的環境を考えると、一人ひとりのキャリアは長くなることが想定されます。キャリアが長期化するということは、その中でキャリアの転換期に巡り合う機会が増えるとも言えます。
なぜ、不安を抱えるのか?
そもそも、人はだれしも、経験したことのないこと、未知のことに対して不安を抱えるものです。ましてや、40歳を過ぎてからキャリアの転換期を目の前にするとき、1回かぎりの人生で、なるべくならば失敗したくないという思いになるのは当然です。
私は、キャリアの転換期における不安は、自分の価値が見えていないことに原因があると考えます。
自分の価値とは、労働市場における価値と言い換えられますが、単に労働市場における自分の想定年収を指すのではなく、「自分が提供できる付加価値」を意味します。
自分は何が好きなのか
自分は何が得意であるのか
自分が蓄積してきた経験は何か、そして、そこから得たことは何か
当たり前のことですが、キャリアの転換期に、これらのことを冷静に自己分析することは簡単ではないと考えます。
自分の価値が見えていないときは、往々にして、自信を感じていなかったり、自己の存在そのものの意味が感じられなかったりしているからです。
このようなときに、漠然と独りで考えても、あたまの中で想いがぐるぐると堂々巡りして、まとまらなくなります。
このまとまらない状態が、不安の原因になるのです。
まとまらない状態から脱出するためには、「あたまの中でぐるぐると堂々巡りしている状態」を解消しなければいけません。
最初にやらなければならないたった一つの鉄則とは?
「あたまの中でぐるぐると堂々巡りしている状態」を解消するには、自己の振り返りが必要です。自己の振り返りは、「リフレクション」といいます。
先ほどお伝えしたことと矛盾しているように感じられるかもしれませんね。「あたまの中でぐるぐると堂々巡りしている状態」は、地図を持たずにさまよい歩いている状態です。「リフレクション」は、きちんとした地図を携えて、歩みを進めている状態です。
同じ独りで考えるといっても、両者には大きな違いがあります。
「リフレクション」なくして、キャリアの転換期を乗り切ることはできません。
「リフレクション」は、つぎの3つの「問い」を通して行います。
- 過去の出来事の整理
- それはどのような意味があったのか。(プラス、マイナス交えて整理)
- その出来事から自分はどのようなことを学んだのか
とくに、2つめの問い「それはどのような意味があったのか」はそのときに感じた感情も整理することをおススメします。自分がどういうときに、どのような感じたかをして、それをどのように乗り越えたのか(あるいは乗り越えられなかったのか)がわかるからです。
この「3つの問い」から、自分の自信や存在価値を確認していくことが、キャリアの転換期の鉄則です。
まとめ
お伝えした鉄則は、自分の過去を見つめ直し、そこから何を学んだか、何ができるようになったのかを整理し、これからの自分のキャリアの方向性を、自分の言葉で語れるようになることに意味があります。
キャリアの転換期において、過去・現在・未来という3つの側面を踏まえて、自分のキャリアを自分の言葉で語れるようになることで、キャリアの転換という大きな節目への適応力が格段に上がります。
その結果、多少の困難にぶつかっても、自らを立て直すことができるようになります。
結果的に、キャリアの転換に伴う後悔を最小化することが可能となります。