組織の大小を問わず、人は組織が果たす機能の一部を担うことが求められます。
年齢が若い時期は、自分が果たす役割と自分の成長曲線が比例するので、仕事を通した達成感を感じやすいものです。仕事を通した達成感は、自分のキャリアに対する納得感にもつながるため、自分の将来のキャリアについても、明るい見通しを持つことができます。
一方、45歳を過ぎて、組織において中堅的な立場になると、ふと迷いが生じたりするものです。
「このままだと、自分がやりたいことが何であるかがわからないままになってしまうのではないか?」
「自分の同期はそれなりのポジションに昇進している。自分は見劣りしているのではないか?」
「自分よりも年下の上司のもとで働くことになった。なんとも、もどかしい。」
このような迷いを感じているときと、自分が想定していない人事異動の時期が重なると、人事異動が「不本意だ」と感じやすくなります。
そうならないためのヒントとして、社会人としての実績を振り返ることの大切さを、昨日のブログでお伝えしました。ヒントは、「いかに柔軟であるか。」です。
hiratsukacareer.hatenablog.com
感情の隔たり
社会人としての実績を振り返ると言っても、長いキャリアを端的に振り返るには、コツがあります。
そのコツとは、「結局、自分は組織に対してどのような貢献ができるのか。」ということを言語化するというものです。ビジネススキルを明確化するということだけではなく、自分の仕事に対する価値観を明確化することでもある、と私は考えます。
人は、仕事のみならず、生きていることを通して、自分なりの価値観を築いていくものです。
「不本意な人事異動」と感じるときは、目の前の出来事(人事異動)と自分なりの価値観との間に、感情的な隔たり(ギャップ)が生じていると言えます。
この感情的な隔たり(ギャップ)を放置したまま、仕事を続けることはおススメできません。時間の経過とともに、隔たり(ギャップ)が固くなり、自分のアタマとココロが、自分の置かれている状態と適応できなくなるからです。
それは、不満を抱えながら仕事をすることになるということです。
隔たりを解消するには
「不本意な人事異動」と感じたとしても、すぐに転職したり、退職したりすることは避けるべきであると、お伝えしました。
やけを起こしても、いいことはありません。「急がば廻れ」で、自分の人材力をつぎの4つの視点で整理してみることをおススメします。自分の人材力を整理することは、「自分なりのプロ意識」を言語化するために、とても役に立ちます。
4つの視点は、
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基礎力
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専門力
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再現力
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人間力
です。
このうち、45歳を過ぎたビジネスパーソンが注目すべき視点は、第3と第4の視点です。第3の視点は再現力。付加価値を生み出すエンジンとなるチカラです。第4の視点は人間力。組織のチカラと共に働く人のチカラを最大化するチカラです。
いろいろと考えたり、振り返ったりすることが面倒だと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、第3と第4の視点について、つぎの2点を意識してみることをおススメします。
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仕事をするうえで自分は何を大切にしてきたのか
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どういう状況のときに、自分はチカラを発揮してきたのか
振り返ることで、明確化されることがあります。それは、自分が大切にしてきた仕事に対する価値観が、あぶり出されるということです。
「不本意な人事異動」を感じる理由は、ここであぶり出された価値観にそぐわないからです。
理由が明らかになれば、自分が感じている隔たり(ギャップ)への対処がしやすくなります。
まとめ
不本意な人事異動と感じたとき、「サラリーマンだから仕方がない」「仕事だから、嫌だと感じながらもやり続けるしかない」といった諦めに近い感情を持ってしまうことは、とても残念なことだと思います。
諦めに近い感情を持つことは、現状維持を可能にしますが、それ以上のことは望めません。むしろ、停滞感につながります。
それゆえに、社会人としての実績を振り返り、自分の仕事に対する価値観を明確化し、「不本意な人事異動」を糧にするという、自分の意識の「柔軟さ」が必要になるのです。
「柔軟さ」とは、自分の仕事に対する価値観と、「不本意な人事異動」との間に、接点を見つけ出す意識を持つということです。そうすると、「不本意な人事異動」と感じている仕事であっても、自分が大切にしてきた仕事に対する価値観と通じる仕事がある、という意識を持つことにつながります。
これは、接点を探そうという意識を持つというアンテナを、自分のアタマとココロに持ちわせることを意味します。
「不本意」と感じていた仕事においても、自分のキャリアを拓くきっかけになることが隠されている可能性を信じ、探していくことで、自分のキャリアを大切にしようという気持ちが生まれます。
さらに、「柔軟さ」を持ち合わせることで、腐らずに仕事に向き合える自分を確認できます。
こうして、「不本意な人事異動」と自分の仕事に対する価値観との接点を見つけ出すことができるようになります。
「不本意だ」「やっていられない」といった「かたくなな」意識を持つと、それは仕事に向き合う姿勢に表れてしまいます。そうなると、仕事の成果もパっとしないものになりがちです。
「柔軟さ」は、自分のキャリアを拓くこと、すなわち、自分のキャリアを諦めないことにつながります。
それゆえに、不本意な人事異動と感じたときこそ、柔軟に対峙していくことが必要になると、私は考えます。
本日も、お読みいただきありがとうございます。
【ご参考】
hiratsukacareer.hatenablog.com