40歳を過ぎると、自分の専門領域がなんとなく固まってきたと思うものです。専門領域は、その人が長く携わっている仕事と関係しています。いわゆる、その道のプロと自負できる仕事と言えます。
その道のプロとしての意識を自覚できれば、その分仕事に対する誇り、やりがいを感じやすくなります。ビジネスパーソンであれば、なるべく早い段階で、プロ意識を持ち合わせることが大切だと、私は考えています。
しかし、「自分が想定していない人事異動を不本意な人事異動」と感じたとき、そのプロ意識が思わぬ弊害を生むことがあるので注意が必要です。
自分が想定していない人事異動を不本意な人事異動と捉えてしまうことはやむを得ないことだと思います。しかし、せっかく仕事をするならば、「不本意な」という思いはなるべく遠ざけたいものです。
自分のキャリアのパターンを把握することで、「不本意な」という思いを遠ざけることは可能です。
プロ意識の弊害
自分なりの落としどころを見つけようとしても、自分なりのプロ意識が邪魔をすることが往々にしてあります。自分が長年携わってきた仕事とは異なる人事異動、自分としては左遷させられたと感じるような人事異動のようなときは注意が必要です。
自分の専門領域におけるプロ意識が、自分の仕事にかかわる意識を偏狭なものにしてしまう可能性が高まるからです。
簡単に言うと、自分の置かれている状況を冷静に見極めることができなくなるということです。
冷静に見極めることができないときは、現状をポジティブに解釈しにくくなります。
つまり、「不本意な」という思いを感じやすくなってしまうのです。
自分のプロ意識とは?
「不本意な人事異動」と感じたとしても、すぐに転職したり、退職したりすることは避けるべきです。気持ちとして納得できないとは思いますが、急がば廻れです。一度、立ち止まって、自分を支えているプロ意識がなんたるかを確かめることが必要です。
40歳を過ぎると、社会人経験は少なくとも15年以上はあるはずです。木の年輪のように折り重なって、自分のプロ意識が築かれているものです。
少しずつ、折り重なって築かれるがゆえに、それを意識的に言語化する機会は少ないと思います。
つまり、「自分なりのプロ意識とは何であるか?」を、自分が認識できていない場合が多いということです。
昨日、「不本意な人事異動」と感じたとき、その落としどころとして、「いかに柔軟に自分のプロ意識を捉えることができるか」にかかっていると、私は感じているとお伝えしました。
「柔軟に」対応できるようになるためには、「自分なりのプロ意識」を言語化できていないと対処できません。
社会人としての実績を振り返る
「自分なりのプロ意識」を言語化する際に、私は、つぎの4つの視点を意識することをおススメしています。
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基礎力
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専門力
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再現力
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人間力
これらの4つの視点を踏まえて、社会人としての実績を振り返ることが、「自分なりのプロ意識」を確かめることにつながっていきます。
45歳を過ぎたビジネスパーソンが注目すべき視点があります。
それは、付加価値を生み出すエンジンとしての再現力と組織のチカラと共に働く人のチカラを最大化する人間力という2つの視点です。
社会人として携わってきた仕事の中から、再現力と人間力を培ってきたプロセス、それらを発揮した経験を掘り起こすのです。
自分の経験であるがゆえに、自分オリジナルのストーリーを通して、借り物でない「自分なりのプロ意識」を築き上げてきた実績がみつかるはずです。
まとめ
社会人としての実績を振り返ることは、漠然としている意識を、具体的な経験を振り返ることを通して具体化することにつながります。
「自分なりのプロ意識」を言語化するためには、それを構成する要素を具体化した上で、自分の言葉で解釈することが必要です。自分の言葉で解釈できれば、「結局、自分は、組織に対してどのような貢献ができるか」という仕事観の認識につながります。
この認識があって、「不本意な人事異動」と感じたとき、その落としどころとして、「いかに柔軟に自分のプロ意識を捉えることができる」ようになると、私は考えています。
明日は、「柔軟に」対処することの大切さを、もう少し掘り下げてお伝えしたいと思います。
本日も、お読みいただきありがとうございました。