「なんのために、転職するのか。」
45歳を過ぎた転職を考えている人からの相談を受けるときに、私が最初に投げかける問いです。
この問いへの答えは、人それぞれだと思いますが、自分の「成長」のみを追い求めないことが大切です。
「成長」のみを追求するとどうなるか
Rさんという47歳の男性から以前相談を受けました。
彼は、職場の文化が自分に合っていないことから、転職を考えて始めて、私に相談に来ました。
「保守的な職場は、自分に合っていない。」
「勉強しない人たちとの時間は無駄だ。」
「自分の成長速度が落ちてしまっている。」
こんな不満を持っていた彼は、転職先に求めることの第一プライオリティーを自分の「成長」のみに置いていました。
私は、転職を考えるときに自分の「成長」を考えることは悪くはないが、それだけを目的としてはいけないとアドバイスしました。
しかし、彼は受け入れませんでした。
今までの時間で失った自分の「成長」の機会を取り戻したいという気持ちが強かったからです。
結果はどうなったか。
3年前に相談を受けましたが、未だに転職は実現していません。
求人している会社は何を考えているのか
転職を考え始めるときは、「自分のあり方」を的確に把握することが重要です。しかし、それだけを中心にしてしまうと、見失ってしまうことがあります。
それは、会社の視点です。
言うまでもなく、「ヒト」は経営資源です。
経営的な視点で転職を捉えることが必要になるのですが、それに意識がいかないケースが多いのです。
会社の視点で転職の本質を捉えてみましょう。
私は、つぎのように捉えます。
「組織が提供する未来の機会において、ヒトが持つ潜在的な可能性を、「時間」という制約の下で、どのように選択・集中していくかという問題を解決するための手段」
組織が提供する未来の機会とは、会社が実現したいことを意味します。それが現状の改善であれ、新規の事業であれ、会社は少なくとも3年先を見据えて、経営が続くことを前提にしています。
「未来の機会」ということと
「ヒトが持つ潜在的な可能性」ということ
「時間という制約」ということ
端的に、この3つの条件に合致している人材を求めているのです。
まとめ
転職は、求人している会社と求職しているヒトとの利益を合致させることで成立します。
45歳を過ぎた転職では、ついつい自分のことを優先してしまいがちになります。
それゆえに、自分を掘り下げることに執着しがちになります。
自分を掘り下げ、自己分析することは大切なことですが、相手のことも同じように掘り下げ、分析することも大切です。
「未来の機会」ということと
「ヒトが持つ潜在的な可能性」ということ
「時間という制約」ということ
会社がヒトを経営資源として捉えるときの視点と自分のあり方を交錯させて活動することを忘れてはいけません。
本日も、お読みいただきありがとうございました。