長年組織で働いていると、否が応でも、組織風土・文化や同僚との人間関係を意識してしまいます。その結果、本来の自分ではない自分を演じて行動してしまいます。
仲間の目が気になるというプレッシャーは、同調圧力となり、思考や行動を制御します。自分の安全を維持するためには、同調圧力の元となる集団的権威に従属せざるを得ないからです。
他人からの評価を気にすることが悪いということではありません。
当たり前のことですが、他人からの評価を気にしすぎてしまうと、うまくいかなくなることが多いということをお伝えしたいのです。
ミドル・クライシスの原因
実は、他人からの評価を気にしすぎてしまうことは、40歳以降のビジネス・パーソンが陥りがちなミドル・クライシスの原因になります。
社会人の多くは、20歳台、30歳台はひたすら「自分ができること」「自分がやらなければならないこと」を拡張し続け、その広がりが評価されてます。これは、自分が提供できる価値を大きくするためにも必要なことで、仕事を楽しんでいる限り、自分の職業観とのマッチングも取れているように感じがちになります。
しかし、40歳台ともなると、自分目線で「自分ができること」「自分がやらなければならないこと」に取り組むことに加えて、組織目線でも「できること」「やらなければならないこと」に取り組む機会が増えてきます。
このとき、「他人からの評価」の「他人」の範囲も広がります。「上司、同僚、部下」に加えて、目には見えない「会社」という組織も「他人」に入ってくるのです。
目に見えない「会社」という「他人」は、処遇という評価を自分に下します。
このとき、「他人から強制された義務」を果たすことに違和感を感じずに行動できていた人でも、自分の意識とのズレを感じてしまうことがあります。
この違和感が、ミドル・クライシスなのです。
他人からの評価とのつきあい方
人は一人では生きていけません。他人からの評価は、否が応でも付き合わざるを得ないのです。
そのため、「自分を知る」ということが極めて重要になります。
もしかすると、40年以上、生きてきた自分は、「他人から強制された義務を果たすために演じてきた自分」なのかもしれないからです。
「偽りの自分」を「自分」だと認識してしまう。
このことを可視化したうえで毎日を生きていかないと、ミドル・クライシスの底なし沼に落ちてしまいます。
45歳からのキャリアを考えるとき、「偽りの自分」があることを認識して、「ほんとうの自分」を再確認することが大切です。
まとめ
45歳からのキャリアを考えるとき、「他人からの評価を気にしすぎる」ことを排除することはできません。
ただし、「他人からの評価」を自分が行動するための主たる燃料にすべきではありません。
「ほんとうの自分」が欲していること
「ほんとうの自分」が選択し続けていること
「ほんとうの自分」が他人から期待されなくても、やり続けていること
これらのことを、きちんと自分の言葉で書き出し、可視化することで、「ほんとうの自分」の解像度が上がってきます。
その結果、「他人からの評価」と「ほんとうの自分が自分に下す評価」との接点ができます。
「他人からの評価を気にしすぎる」と、「ほんとうの自分が自分に下す評価」と接合する面積が存在しなくなるため、強烈な違和感を感じることとなります。
ゆえに、他人からの評価を気にしすぎると、うまくいかなくなるのです。
「ほんとうの自分」の解像度を上げるためには、「自分を知る」ことが遠回りなようで近道です。
社会人としての自分史を振り返ることに意味があるのです。
本日も、お読みいただきありがとうございました。