私の友人(H君)と久しぶりに会って近況報告する機会がありました。H君とは、会うたびにお互いの「キャリア観」について語り合います。話のなかで、「キャリアの転換」についてとても参考になる話がありましたので、お伝えします。
最初に入社した商社で、新人なんだけどアメリカに一人で出張して、仕事をまとめてきたんだよな。
そういう環境で、自分よりも10歳も年上のゴールドマンサックスのユダヤ人の友人と話をしていて教えてもらったことがあるんだ。
その友人は「1年に1回、自分はこうする。自分はこうしたい。」という自分へのコミットメントを紙に書き出す習慣があるって言うんだ。
自分が社会とどのようにつながるか、定期的に見直すことがとても大切になることを教えてもらったんだよな。
H君は5回の転職経験がありますが、そのすべてに明確な目的意識をもって転職(キャリア転換)しています。
一般的に5回の転職は多いと思われがちです。
しかし、H君のようにキャリアにかかわる目的意識がある場合、転職を重ねることがキャリアの厚みとなり、人材としての価値も高めることにつながります。
事実、H君の転職した会社は、誰も知っている有名企業ばかりで、ハイレベルなキャリアを積み重ねていることは誰が見ても明らかなものです。
目的意識を持つようになったきっかけは、ユダヤ人の友人から教わった「ユダヤ式キャリアの磨き方」のおかげだ、H君はそう言いました。
【目次】
ユダヤ式・キャリアの磨き方を支える3つの軸
H君が教わったユダヤ式キャリアの振り返り方は、1年に1回「自分はこうする」という自分の基準を作ることを通して振り返るものです。
自分の基準を作る軸は、つぎの3つの軸から成り立っています。
・自分自身は、どうありたいか。
・地域の中で、どうありたいか。
・社会の中で、どうありたいか。
これら3つの軸は、つぎの3つの視点で振り返るようです。
(1)毎年1年間を振り返る。そして、自分がどういう位置にいるか、自分は成長しているか、を自ら確認する
(2)「どうありたいか」ということを認識し、「どうしていきたいかということを振り返る
(3)「地域」とは自分と近しい社会(家族や自分が所属する会社等)、「社会」とはそれを取り巻く大きな社会(住んでいる町や国等)と捉え、社会の中で自分を活かすという点で振り返る
ユダヤ式・キャリアの磨き方の秀逸さ
会社勤めをしていると、よほどのことがない限り、自分のキャリアを振り返る機会は少ないものです。たとえば、会社の制度として「キャリア申告制度」があったとしても、「自分のキャリアを真剣に振り返りたい」とはなかなか思わないものです。
「転職しよう」と意識したときに、初めて「自ら、自分のキャリアを真剣に振り返ろう」と思い、「自分自身のキャリア」を振り返ることに着手することが一般的だと思います。
H君の話を聞き、キャリア転換を専門とする私はつぎの3つの点でユダヤ式キャリアの磨き方を秀逸だと感じました。
(1)定期的に自分自身を振り返ること。
(2)「自分のあり方」と「自分の現在地」を比較し、自分の未来を描くこと
(3)「自分の軸」をつくりながら、自分の人生をいきていくこと
その理由は、つぎの3点です。
(1)自分の意志で、毎年、自分自身と向き合うこと
(2)「自分のあり方」を自ら認識していること
(3)自分の生き方として、自分の判断基準となる価値観を明確にしていること
定期的に自分のキャリアを振り返ることを通して、自分で自分の人生に向き合い、自分を社会とのかかわりの中で「活かしていく」ための選択基準を創り上げていく。これは主体的にキャリアを積み上げていくことにほかなりません。
H君から話を聞いて、人は社会の中で生きて(活きて)こそ、存在価値を感じ、確かめられるものだということを再認識しました。
まとめ ブレない選択基準の大切さ
H君もこの教えを知ってから、転職に際して、「自分が今いる会社でどういう貢献ができるか、自分を取り巻く社会で自分を活かすにはどうすればいいか」という視点も持ち合せて転職における選択に臨んだと話してくれました。
よりよい転職、後悔や失敗しない転職を実現するためには、ブレない選択基準を持ち合わせることが必須です。
そのためには、職務経歴や実績を列挙することで自分の専門性を確かめるのではなく、自分の価値観を「内なる自分」と対話することが重要です。
45歳を過ぎた転職では、仕事にかかわる価値観のみならず、生き方にかかわる価値観も確かめることが必要です。
そのためには、自らの意志で自分を整理しなければいけません。整理するためには、自分と真摯に向き合って、用意周到に準備し、と時間をかけることが必要です。
H君から聞いたユダヤ式・自分のキャリアの磨き方は、自分と真摯に向き合うためにとても参考になると感じました。
45歳を過ぎてからの転職がより良いものになるために、今、転職を考えている方に知っていただきたいと思いました。
この記事を読んでいただいた方の参考になれば、嬉しく思います。