2017年10月28日の日本経済新聞の記事の衝撃の記事が出ていました。
みずほ、低収益にメス 1.9万人分の業務削減検討 :日本経済新聞
メガバンクで大リストラが始まるという内容は、つぎのように危機感を伴うものでした。
6万人を超えるグループの一部に内部は内向き志向や現状安住の意識がはびこり、内部資料が「過剰品質」になるなどの無駄があった。
今後、グループの事務を集約し、自動化する提携の事務作業も100業務に拡げる。
業務量の削減目標は21年度には8千人分、26年度には1万9千人分に増やす。じつにグループ全体の3分の1に近い規模だ。
多くの行員が浮くため、バブル期の大量採用組の退職増と採用抑制で適正規模への調整を進める。
環境がさらに悪化すれば大量の希望退職などに踏み込まざるをえなくなる恐れもある。
産業界を牽引する金融業界においても、競争激化に伴う業務効率化を真剣に考えるための人員削減策が、ここまで明らかになることに、正直驚きを覚えたところです。
遅かれ早かれ、多くの産業界で人員削減を含むリストラが進んでいくかもしれません。まさにサラリーマンにとっては、受難の時代とも言えます。
新聞報道にもあるように、バブル入社組がリストラの候補になります。1986年から1992年頃までの入社した世代がそれに該当します。好景気に支えられて、企業が大量採用していたため、現在の景気低迷期において、その世代の処遇に頭を悩ませている会社が多いのです。
たとえば、三越伊勢丹も破格の早期退職制度の運用を考えていることからも、大手企業の困窮度がよくわかります。
三越伊勢丹が猛烈リストラ、バブル入社組に破格の早期退職金も | Close-Up Enterprise | ダイヤモンド・オンライン
そもそも、バブル入社組が社会に出た頃、都市銀行としてお互いにライバル関係の銀行が合併してメガバンクとなっていますし、三越と伊勢丹が合併するなんて思いもしなかったはずです。
【目次】
早期退職制度を選ぶにも準備が必要
早期退職制度は、会社にとっては一時の支出が増えることから財務インパクトは大きいものの、固定費である人件費を長期スパンで捉えると圧縮するために有効な方法です。
収益モデルの改革、人件費構造の見直しは、会社が生き残るために避けて通れないと考えている証でもあります。
働く側からすると、早期退職制度の選択は、非常に悩ましいものです。その選択が自分にとって、どのような影響をもたらすか判断がつきにくいからです。
ゆえに、早期退職制度を選択するにしても、当面の生き方をしっかりと見据えていくことが求められます。早期退職してから、何をするのか決めようかという悠長な考えは持つべきではないでしょう。昨日の日経新聞の記事からは、一つの会社で通用するスキルや能力だけでは今後生き残りが難しいことがわかります。
三井住友銀行は支店業務のデジタル化を今年度からの3年で集中的に進める。多くの職員が振り込みや納税、伝票の確認にあたっているが、電子化されたデータを全国9カ所のセンターに集約することで事務の効率化を目指す。
自分が持っているスキルが果たして、社外でも通用するスキルや能力であるのか、冷静に見極めることで、自分の進む方向性にかかわる準備が必要になります。
必要な人材として存在するために
①基礎力、②専門力、③再現力、④人間力の4つの要素を勘案して人材にかかわる評価が見定まります。リストラの対象になる人は、この4つの要素のいずれも兼ね備わっていない人になりますから、自分のスキルや能力を見極めることが必要になります。
会社も退職を強要できませんが、退職を勧めることはできます。なんらかの基準をもって、リストラの対象者を検討するわけです。
少なくとも、人間力の点でマイナスにならないように留意する必要があります。端的に言うと、「存在するだけで、組織のチカラがマイナスになる人材」にならないようにすることが大切です。
- セクショナリズムを重視する
- 属人的な仕事の進め方をする
- 業務をあえて複雑化する
- 言動が場の空気を悪くする
これらのなにかに該当するものがある場合、自分の立ち振る舞いを早急に見直すことが必要になるでしょう。
必要な人材であるために、どのように準備するか
40代を過ぎると、若い頃に比べてパフォーマンスが落ちるという人がいます。確かに、体力的なパフォーマンスは落ちるでしょう。若い頃のように、夜遅くまでお酒を呑むと翌日体調が整わなくなったり、長い時間働くことがキツくなったりします。量をこなす仕事という点ではパフォーマンスは落ちるかもしれません。
しかし、質的な面では必ずしもパフォーマンスは落ちるものではないと考えます。
したがって、「仕事の質の面で、自分がどのような能力やスキルを持っているか」という観点からビジネスパーソンとしての自分を棚卸しすることが必要になります。
具体的には、ビジネスパーソンとして創り出した業績を時系列にそって、掘り下げることが必要です。それも、「40代ならでは・・・」という視点で、4つの力も勘案して捉えてみます。
- 基礎力:基本的なビジネススキル(書く力、数字を読む力、伝える力等)
- 専門力:どの分野の専門家であるか(モノを売る専門家、財務の専門家等)
- 再現力:成果を出すためノウハウがあるか(環境にかかわらず再現できるか等)
- 人間力:人を不快にさせず、協働できるか(協働意識とコミュニケーション等)
これら4つの力を、数式でたとえると、
{(基礎力)+(専門力)+(再現力)}×(人間力)
となります。
この数式を意識しながら、自分のキャリアを掘り下げてみると、強みと弱みがはっきりと見えてきます。
まとめ
会社組織で働いていると、ついつい「ゆでガエル」状態になるがちです。自分をブラッシュアップすることから足が遠のいてしまうからです。
今回は、日本経済新聞の記事から、自分のキャリアを棚卸しすることの重要性についてお伝えしました。このことは、自分の歴史を振り返ることと同じ意味があると考えます。
歴史を振り返るには、一定の時間が必要です。
今回お伝えした4つの力をもとに振り返ることで、自分が会社組織に貢献できることが可視化されるはずです。可視化されたことについて、今、チカラを発揮できていないならば、行動を変えてみることをお勧めします。
行動を変えることで、変化を起こすことができれば、自分の「存在価値」は高まります。会社組織にとって、必要な人材になるためには、自分の行動が大きく影響するからです。
40代を過ぎてからでも、自分を振り返ることで、チカラを再生させることは必ずできます。小さなことから始めてみることに、「遅すぎる」ということはないのです。い人
追伸
40代を過ぎてからでもパフォーマンスを上げるための方法についての過去記事です。ご参考までに。