IT化が進みつつある1991年、私は社会人デビューしました。
当時は、インターネットの黎明期でした。記憶ではIT化というよりもOA化という言葉が一般的であったように記憶しています。一人1台のPCが普及しつつあるときでした。まだ、電話が主たるコミュニケーション手段でした。伝えたいことを正確に伝達させるための手段は、FAXを活用していました。
携帯電話も、移動式電話から移動式PCに進化しています。総務省の調査によると、その普及率が、1989年度末0.2%であったものが、2016年度末123.1%まで伸びています。言うまでもなく、ITは生活になくてはならない通信手段となりました。
これらの進化により、e-mail、LINE、skype、chatwork等を介したデジタルコミュニケーションが主流になってきています。
【目次】
1.デジタルコミュニケーションの良いところ
デジタルコミュニケーションは、時間当たり労働生産性の観点において、極めて有効なビジネスツールです。電話のように相手の時間を奪うこともなく、自分が伝えたいことを文字を介して伝えられます。
ビジネスで活用されるe-mailの場合、件名で内容がある程度推測できるよう配慮したり、添付ファイルを活用して文字以外の媒体で意思を伝達できます。
複雑な案件であっても、相手に結論を示して、要点を整理して伝えることができるため、電話で伝えるよりも正確に伝えたい情報を伝えることができると感じています。
2.デジタルコミュニケーションの難しいところ
一方、デジタルコミュニケーションは、双方の感情が表現しずらい難点があると思います。声を介して伝えるリアルコミュニケーションと比較すると、文字に感情表現を含めることは難しいからです。
絵文字や感嘆符(!、?)を活用することで、ある程度は補足できる部分もあります。
しかし、リアルコミュニケーションならば短時間で完了できた案件が、デジタルコミュニケーションでは、感情面での双方の誤解が原因で思わぬトラブルに陥ることがよくあります。
便利であるものの、活用の仕方次第で思わぬ事態を招いてしまい、火消しに貴重な時間を費やす結果につながりかねません。
3.「できないヒト」がやってしまいがちなこと
さて、良いところと難しいところを踏まえて、「できないヒト」が やりがちなことを3つあげてみます。
1)返信が遅い
仕事が早い人は、メールへの返信も早いです。
時々、業績を上げている企業の経営者へメールすると、その返信のスピード感に 驚かされることがあります。
返信のスピード感は、相手に対する敬意の表れでもあるように感じます。
それゆえ、返信が早いことで、大切にされているということが伝わると思うのです。
2)とりとめのない長文のメールを送信する
あらかじめメールの文頭に長文になるとの記載もなく、長文のメールを送信する人がいます。
長文のメールは、盛り込まれている情報が多くなるため、論点がぼやけてしまいがちです。
やむを得ず、長文のメールを送信するときは、論点を明らかにして、読みやすい構成にする ことが大切です。
「できないヒト」といわれる人は、「自分が伝えたいことを、とにかく伝えたい」という意図がメール に表れます。
受信する側が、それを受け取ることにより、どのように感じるかという点を考慮していない場合が 多いと思うのです。
3)受信者に対する配慮がない
つまるところ、受信者に対する配慮がないことが伝わってしまうのです。
「できないヒト」が出すメールを読むと、なんとなく動きたくなくなるという感情が沸き起こってしまう のです。
こういう状況になると、受信者側にネガティブなバイアスがかかるため、簡単に進められる案件が 複雑化して、非生産的な状況を生み出してしまいます。
4.まとめ
仕事を進めるうえで、自分の後工程はお客様であるという意識を普段から持ち合わせていないことが 「できないヒト」のデジタルコミュニケーションにおける齟齬を生み出しているように感じます。
特に、依頼ごとをする場合、メールだけで済ませず、直接会ったり、電話したりして補足説明をすることが、 大切だと思います。
相手との関係性が薄ければ、なおさら、リアルなコミュニケーションをデジタルコミュニケーションに織り交ぜた 丁寧な対応が求められるのではないかと考えます。
結局、普段の仕事において「相手思い」であれば、リアルであれ、デジタルであれ、コミュニケーション上の誤解 は回避できるのではないでしょうか。