「この人は、どうして転職したいと思っているだろう?」
「なにがきっかけだったんだろう?」
「仕事を変えて、得たいことは何だろう?」
私は、中途採用の面接をするとき、履歴書に書かれていない転職理由を深く確かめさせてもらっています。とくに45歳を過ぎて中途採用に応募してきた人については、「なぜ転職するか」という本音を聞かせてもらいます。
「自分の可能性を広げたい」
「自分の〇〇という経験を、△△社の事業で活用して貢献したい」
職歴や保有している資格から、「やりたいこと」や「できること」をうかがい知ることはできます。しかし、表層的な言葉からはその人の本音が見えてこないことが多く、「もしかすると、この人は現職(または前職)で活躍していなかったかもしれない」と感じることがあります。よほどのことが無い限り「採用見送り」となります。
それでは、その特徴はどのようなものなのでしょうか。今回は、「採用見送り」になる人の3つの特徴についてお伝えします。
【目次】
1.抽象的な表現を多用する
「採用見送り」になる人は、応募理由や実績を伝えてもらう際、抽象的な表現で実績を伝えがちです。
「私が、〇〇したことで、会社にとても大きな貢献をしました。」
「非常に難しい背景があるなかで、困難を突破して目標達成しました。」
「〇〇さんのおかげで、部署の結束力が高まったよ、と言われます。」
「とても大きな貢献」とは、具体的にどういう貢献?
「難しい背景」とは、具体的にどういう背景?
「困難を突破して」とは、具体的にどういう困難?
「〇〇さんのおかげ」とは、具体的にどういうかかわり方?
具体的に伝えられないのは、おおむね次の3つの理由があると考えています。
1.実績がない
2.実績を上げた人のアシスタント的な存在であった
3.実績はあるのものの、伝え方が上手でない
45歳を過ぎて、いずれかに該当するならば、即戦力としては力不足と捉えられる可能性が高まります。
2.質問に対する回答が長い
「採用見送り」になる人は、質問されたことに丁寧に答えようとして、回答が長いです。答えている本人は気づかないのかもしれませんが、2~3分、独りで話し続けていることもあります。
しかも、質問の論点からずれた回答になっていることが多く、面接する側が「?」と感じてしまうことが多々あります。
1.質問に対して端的な受け答えができる
2.「質問」と「回答」を通した対話力がある
3.論点を把握する力、相手が知りたいことを想像する力がある
面接は時間に制限があります。「要するに」という視点で自分のキャリアを捉えることが中途採用面接では大切です。
採用する側は、上記の3つの視点から、その人のコミュニケーションスタイルと論点把握力を確かめています。
質問に対する回答が長い場合、これら3つが兼ね備わっていないと判断されてしまいます。
3.現職(または前職)で他者との協業関係が見えてこない
仕事は、自分ひとりで完結するものではなく、必ず前工程と後工程があります。さらに、自分が担った役割をとりまく上司やチームメンバーの支援もあるはずです。
「私が〇〇という実績を出しました!」
「私がリーダーシップをとって、チームをまとめました」
「私が出したアイデアで困難を打開しました」
面接のとき、このような自己アピールをよく耳にします。
たしかに、「私」という自分が主体になって動いたことと思いますが、チームワークや他者との協働力をうかがい知ることに苦慮してしまいます。
社会と同様に、会社も他者とのかかわりによって動いていることを踏まえると、つぎの3つの視点をもとに自分の業績を伝えることが大切です。
1.どのような立ち位置で
2.どのような人とのかかわりがあり
3.どのような困難を協業して解決したか
この3つの視点があれば、どの程度「組織の力」を活用した貢献の可能性を知ることができるからです。
4.まとめ
中途採用は、主に業績拡大に伴う増員や想定していない退職者への補充が目的です。しかし、人を増やすことだけが目的ではなく、異なる経験や価値観を持った人を迎え入れることで、組織の力が高まることを期待する目的もあります。
いずれの場合も、採用後の職場での活躍してもらうためには、コミュニケーション力と協働力は欠かせないチカラとなります。
45歳を過ぎて転職を考えるとき、上記の3つの特徴をもとに、自分の実績を整理されてみることをお勧めします。