上司はいつも上のことを気にしてばかりいる
肝心のときに、上司は逃げ腰だ
職場における人間関係、とくに上司と部下との関係で悩んでいる人が多くいます。
実際、部下から上司のことで人事部門に相談が上がることはよくあることから、経験上、体感していますし、そのことが原因で、職場の生産性が低下していることはよくあることです。
部下は上司の態度や姿勢をみて、3日で上司がどういう人物であるかを見定めるという定説は実に的を得ていると思います。しかし、ハラスメント等に相当する大きな理由がなければ、人間関係のもつれによる人事異動を行えない組織としての事情があります。
「もはや、人間関係で悩んでいる人は、耐え忍ぶしか道はないのか。」
完全に解決することは、簡単なことではありません。もっとも、人事の経験上、「かるくする」ことは可能だと考えています。(上司がハラスメントの当事者である場合は、外部から救済的な措置を講じる必要があるため、また改めて投稿します。)
そこで、今回は「上司との人間関係の悩みをかるくするための方法」を3つお伝えします。これらは、私が人事の仕事に携わっているなかで、経験的に出会ったもので、会社のなかで「存在感のある人材」と評価されている人がとっている方法でもあります。
【目次】
1.まずは自分のことを観察する
上司の何が気に気に入らないのか、上司のどういう言動を受け入れられないのか。
すこし遠回りするように感じられるかもしれませんが、自分の上司を受け入れられない理由を自己観察することが大切です。これは、自分の非を認めることではありません。
あくまでも、「なぜ」「上司の言動を」「受け入れられないか」という自分の心の動きを観察するのです。
人はそれぞれ生まれ育った環境が異なります。経験したことも当然異なります。したがって、経験から培われた価値観が異なることはあたりまえのことです。
このことも踏まえて、自分の価値観を観察するということが大切になるのです。
たとえば、「否定されることをなるべく避けたい」という価値観を持っていて、「自分の提案にダメ出しされるとき」に「否定される」と感じるとしましょう。
そうすると、上司が良かれと思い、育成の観点から「ダメ出し」をすると、「否定された」と感じやすくなります。
すこしわかりにくいかもしれませんが、「自分の提案にダメ出しされる」という「条件」が整うと、「否定された」と感じる方程式が自分の心に組み込まれているともいえるのです。
ゆえに、「否定された」機会が積み重なってくると、「上司は私のことが嫌いに違いない」と認識するようになってしまい、「人間関係の悩み」につながるのです。
自分の価値観を観察することは、自分の心の動きの癖を把握することです。
観察した結果、自分の心の動きの癖がわかれば、それをチューニングすると悩みが軽くなる可能性が高まります。
先のたとえで言うならば、「否定される」と感じる「条件」を「自分の提案が10回ダメ出しされるとき」に「否定された」と感じるようにチューニングすれば、悩みをかるくすることにつながるのです。
(参考)
hiratsukacareer.hatenablog.com
2.悩みをかるくする 3つの方法
2-1:似ているところを探す
悩みの原点が、実はお互い似たり寄ったりの部分があるため、そこが相容れない、ということがよくあります。実は、上司は自分の鏡であったりするわけです。
そのことから、自分の言動と上司の言動を比較することになり、「自分ならば、上司のような行動をとらない」といった感情を持つ機会が増え、「人間関係の悩み」につながるのです。
自分のことを観察することに近いのですが、上司と似ているところを探してみると、案外、上司の良いところや、認めてあげてもいいかなと思うところが見えてきたりします。
似ているところがゼロの場合は、上司が自分よりも優れているところを探してみるといいでしょう。自分ではなかなかできないことで、上司が軽々とできてしまう点を優れているところとして探しみるのです。
2-2:優れているところを探す
どんな上司でも一つや二つ、自分よりも優れているところがあるはずです。それが見つかれば、その点を学んでみようという姿勢で接してみるのです。つまり、上司との接点を自分から創り、近づいていくのです。
近づくことは、お互いを知る機会となりますから、関係性が好転する可能性があります。
2-3:可哀相なところを探す
上司が自分よりも優れているところがゼロの場合もあろうかと思います。この場合は、ひたすら、「可哀相なところ」を探してみるといいでしょう。
言い換えると、自分よりも劣っているところを探すのです。
「自分は楽々できるのに、上司は全くできないこと」がわかれば、気持ち的に優位になれますよね。
優位な気持ちを表に出す必要はありませんが、心に余裕があれば、「いなす」ことができますから、悩みにつながる可能性は低くなります。
自分の心に余裕を見出すために、上司の可哀相なところを探してみるのです。
3.まとめ 自分の内心を因数分解する
「存在感のある人材」は、うまく自分の心の動きをコントロールしています。
それは、目の前にある環境や事実を変えなくとも、自分がどう行動すれば、「自分の居心地がいいか」がわかっているともいえます。
今回お伝えした3つの方法は、その気になれば、いつでもできることばかりです。
会社のなかで、業績を上げ存在感のある人は、自分ができる範囲で「人間関係の悩み」を軽くし、自分の感情が楽になる術を身につけています。
悩み事を抱えているときは、自分の心の動きがわからなくなっていることが多いのですが、今回お伝えした3つの方法を試してみると、見えてくるものがあるはずです。
あたかも、「自分の内心を因数分解する」ように、心の動きの癖を捉えると、上司との人間関係の悩みが軽くなりますよ。