「冷静に考えれば、評価者が変われば評価基準が変わることも通常ありえること。受け入れられないのは自分のエゴかもしれませんね。自己評価はあくまで自己評価。上司から評価してもらえない結果を招いた原因は何なのか、静かに考えてみる必要があると思います。」
自分の評価結果に納得できなかった人から相談を受けました。
その人は、組織の中で自分なりに工夫・改善し、部下のマネジメントにも腐心してきたにもかかわらず、前年度評価よりも1ランク評価が下がったことに納得感が得られていないようでした。
誰もが一生懸命仕事をしていれば、それに相応しい評価を得たいと考えるものです。自分が考える相応しい評価が得られなかったとき、やる気を喪失したり、モチベーションが下がってしまいます。
人事の仕事をしているとわかることがあります。
それは、業績を上げる人とそうでない人の差です。
その差は、「評価結果の受け入れ方」にあります。
ビジネスパーソンとして、存在価値のある人材になるための分岐点は、評価結果の受け入れ方次第と、私は考えています。
今回は、自分の意に沿わない評価結果を受け入れて、自分を活かす方法をお伝えします。
【目次】
評価結果が下がったときの状態
自己評価結果が最終評価よりも下がったとき、そのことを「不条理」「不運」と感じやすくなります。
とくに、業績を上げつづけてきた人は、そもそも高い評価を得ることがスタンダードになっているため、ワンランク下がった評価が標準的に合格点だったとしても、受け入れることが簡単ではありません。
高い評価を取りつづける自分を喪失したことを、自分のプライドを他者によって奪われたように感じてしまうからだと感じています。
それゆえ、評価結果が下がった状態を「不条理」「不運」な自分と感じてしまうのです。
「不条理」「不運」と思うことによって得られる結果
冒頭にも述べたとおり、自分が考える相応しい評価が得られなかったとき、やる気を喪失したり、モチベーションが下がってしまいます。
つまり、「不条理」「不運」と受けとめた時点で、「自分は悪くない、他者が悪い」という感情を抱いてしまいます。
これはとても「辛い」ことです。自分ではどうにもできないことのように感じるからです。
さらに、自分が考える相応しい評価結果が得られなかったとき、それに対して意義を申し立てたりすると、自分が働いている組織や自分の上司に不信感を表明することになります。このことは、それなりにネガティブなストレスを感じてしまうでしょう。
いずれにしても、冷静でいられる自分を保ちづらい状態を、自ら作り出してしまいます。
私は、なるべくならば、そういう状態は回避すべきと考えます。
「不条理」「不運」と感じている自分を解放する
自分が考える相応しい評価が得られなかったとき、やる気を喪失したり、モチベーションが下がってしまうと、自分の活動量が一気に下がってしまいます。
結果的に、パフォーマンスに影響が出て、業績も下がる可能性が高まります。
こういう状態のとき、私は「誰のために働いているか?」というシンプルな質問を自問自答することをおすすめしています。
「不条理」「不運」な自分を感じているとき、働いている自分を中心に考えがちになっていることが往々にしてあります。
それに囚われている間は、自分のことしか視野に入っていない状態ですから、自分の視野を広げてみるという観点で「誰のために働いているか?」を自問自答するのです。
「家族のため」
「自分のサービスを受けるお客さまのため」
「ともに働く仲間のため」
視野が広がると、自分を取り巻く存在と自分の仕事を照らし合わせることができます。「自分にはまだまだやれることがあるのではないか?」といった視点に気づけることでしょう。
この気づきは、活動量の落ちた自分から解放されるきっかけとなり、結果として「不条理」「不運」と感じている自分を解放するきっかけにもなります。
意にそぐわない結果をバネに、自分の「のびしろ」を確認し、広げていくことで、新たな自分の可能性を確かめられます。
評価結果を「受け止める」のではなく、「受け入れる」ことで、自分の存在価値を高めるきっかけにする。
これができる人は、人材力に大きな影響を与える「人間力」のある人材となります。存在価値のある人として周囲から見られるようになるはずです。「周囲の目」が積み重なり、その人の評価につながるのです。
まとめ
自分の意に沿わない評価結果を受け入れることは、辛さを抱えることとも言えます。まさに、辛抱です。
私に相談した人は、評価結果を受け入れ、前に進むことを選択しました。受け止めて現状に止まらないことにしたのです。 2018年度は誰もが認める圧倒的な成果をあげると思います。
辛抱することは耐えることではありません。
意に沿わない評価結果を受け入れ、辛さを抱えつつも前に進むこと。このことが、自分を活かし存在価値を高めるきっかけになります。
視野を広げ、他者とのかかわりを通して自分の仕事やその成果を捉えることにつながるからです。それは、人としての器を大きくすることを意味します。
他者からの評価を変えるには、行動し結果を出すことが王道だと、私は感じています。