43歳で転職して7年たったGさんと会ってきました。
Gさんは、20年勤続した会社を退職して異業種へ転職し、転職直後に「転職にしくじった・・・。」と悔やんでいた人でした。
久しぶりに会ってみると、6年前と変わって落ち着いた表情をしているGさん。
「転職後のしくじりをどうやって乗り越えたか」を聞いてみました。
自己責任の重さに耐えかねた最初の2年
「いやはや、最初の1~2年は自分が下した選択の結果が想像以上に重かったんですよね。転職は自己責任だとわかっていたものの、思うようにいかない毎日を過ごすことが辛く、しくじった感を強く感じていましたね。」
Gさんは、転職活動中はそれなりに準備をして臨んだものの、自分が思うように活躍できず、焦りを感じていたことが「しくじり感」を強くしたと感じていたようです。
転職直後は、人脈もゼロから築いていく必要があります。周囲からの期待にも応えなければならないプレッシャーは思いのほか大きかったようです。
前の会社に出戻りしようとした
「しくじった感が強すぎて、前の会社の上司に連絡して戻らせてもらいたいと言ったこともありました。今思うと、考えが浅はかで恥ずかしいかぎりですが、あの当時はそうでもしないと自分の居場所を確認できないほど追いつめられていたと思うのです。」
転職後のしくじり感は冷静な判断力を鈍らせます。Gさんは、結果として前の会社に出戻らなかったのですが、もし出戻っていたら、別の意味でストレスフルな環境に身を置くことにもなったでしょう。
実績を出すしかないと決めた
「いろいろと模索し、新たに転職するという道を選択しませんでした。と言うもの、転職後の会社でさしたる実績も出せずに新たに転職できるほど世の中甘くないと感じたからです。」
「実績を出すしかないと決めてからは、自分が感じていた「しくじった感」が馬鹿げていたと思うようになりました。「しくじった・・・」と言っていれば、その分行動しなくてもいいように思っていたことに気づいたからです。当たり前の話ですが、自分の人生、自分で切り拓くしかないことにも気づいたんですよね。」
実績を出すしかないと決めてから、Gさんの視界が広がったようです。転職後の会社で人脈も築け、徐々に仕事の成果も出てくるようになり、Gさんの存在も認識され始めると、転職後の「しくじり感」が小さくなることを実感したと、Gさんは話してくれました。
Gさんの覚悟が、転職後の存在価値を周囲に伝えるきっかけになったのでしょう。
時間が解決することもある
「転職直後は、早く成果を出さなければと焦っていたと思うのです。それで自分が空回りしてしまい、思うように動けないと感じたんですよね。それが「しくじり感」の元凶だったんです。」
「しかし、今こうして勤務していられることから、「しくじり感」を拭いさるには、あるていどの時間が必要だと感じています。時間が喪失感を埋めてくれるように、転職直後の焦りは必要な化学反応のようなものだと捉えることが必要だと思うのです。」
「そう考えると、中高年の転職であっても転職後の1~2年の間にしっかりと土台を作れば、その後は思い切り活躍できるようになると思います。「しくじり感」とは健全につきあうものだとわかっていたら楽だったのに、と思えるんですよ。」
Gさんの経験からわかることは、転職後の焦りは禁物。思うようにいかなくとも、それを通過儀礼として冷静に捉え、自分ができることに集中することと、たとえ時間がかかっても中期的な計画のもとで行動することの大切さです。
Gさんは、時間をかけて転職後の会社で土台を作ったからこそ、転職後の「しくじり感」を乗り越えられたのでしょう。
まとめ
転職直後は、誰しも思うようにいかない場面と対峙するものです。Gさんも同じ経験をして、思うようにいかない場面を「しくじり感」と捉えたのでしょう。
しかし、Gさんが感じているように「しくじり感」を転職直後の当然の化学反応のようなものだと認識できているならば、気持ちが軽くなるのではないでしょうか。
「しくじり感」を乗り越えられずに、新たな転職に活路を見出すときは転職が失敗に終わるケースにつながりやすくなります。
転職直後に思うようにいかないことがあっても、当然の化学反応と認識すること。
時間を自分の味方につけて、自分が為すべきことを中期的に計画し実行していくこと。
この2つのヒントを知っていれば、転職後の「しくじり感」を乗り越えることができると、私は考えています。