目標評価は、定量的に評価できる項目と定性的に評価できる項目があります。さらに、定量的に評価できる項目にも、「結果」だけで評価できるものと、「過程(プロセス)」も含めて評価できるものがあります。
自分が評価されていないと感じたときは、それに対してどのように向き合うかで、自分の存在価値が変わってきます。
上司が見ているパフォーマンスと本人ができていると考えるパフォーマンスとは、往々にしてズレがあるものです。多くの人間が、成功は自分の能力や努力によるものだと考え、失敗は自分の制御できない要因によるものだと捉える傾向にあり、心理学では、これを自己奉仕バイアス(self-servicing bias)と呼んでいます。その結果、実際よりも自分の貢献を大きく評価してしまうのです。(「日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用 大湾秀雄 日本経済新聞出版社」P196)
この一節は、評価のズレが生じる科学的な理由を端的に示してくれています。
自己奉仕バイアスについても目を向けることが大切だということです。
【目次】
自分に過信はないか
45歳を過ぎると、経験に応じた業績を求められます。
周りから見ると、仕事の品質が自分が感じているほど高くなかったり、そもそもの目標値が低く設定されていたりする場合があります。
評価されていない、と感じてしまうことを止めることはできないと思います。感じてもいいのですが、冷静な自分を取り戻し自分の業績を捉え直すことをおすすめしています。
結果的に自分が損をしかねないからです。
上司と関係は?
上司は評価することに加えて、部下に評価に至った理由をフィードバックする役割を担っています。
上司から自分の業績についてフィードバックを受けられるならば、自分が評価されていないと感じる時間を最小化できます。
たとえば、雑談を気軽にかわせているならば自分のフィードバックを求めやすいでしょう。
しかし、そうでない場合は注意が必要です。
やっかい者にならないために
上司と部下の関係は、とても機微なものです。人と人のかかわりですから相性も関係します。
関係性ができていない状況で、自分の評価を確かめるために上司にフィードバックを求めるときは、冷静な状態であることと一歩ひいた姿勢であることが必要です。
フィードバックを求めている姿勢が、あたかも上司にケンカを売っているような場面を目にすることがあるからです。
そして、その上司はこのようにつぶやきます。
余計なことに時間を費やして、要求レベルに達していないくせに
求めるレベルに達してもいないのに、できていると勘違いしている
上司と部下との間で、コミュニケーションの齟齬が生じると、自分が損をしてしまうかもしれません。
損をするとは、上司にとって扱いにくい部下、やっかい者になってしまうということです。
まとめ
仕事の結果を評価するのが他者であるかぎり、評価結果を自分ではコントロールできないものです。したがって、自分が評価されていないと感じるときには、つぎのことに留意することが望ましいでしょう。
(1)ひとりよがりに仕事をすすめていなかったか。
(2)自分に求められている水準を上司と確認し合っていたか。
(3)評価結果を受けて感情的になっていないか。
45歳を過ぎると分別ある見識と行動がないと、ビジネスパーソンとしての価値が半減してしまいます。
「評価されていない」ときは、「悔しい」「情けない」「見返したい」という感情を持ってしまいます。ゆえに、自分を見失いがちになります。
しかし、「悔しい」「情けない」「見返したい」という思いに流されてしまうのではなく、ひたすら「求められる実績」をあげて結果を出す方法を模索することの方が、自分の存在価値を損ねません。
結果を出す方法を模索するには、上司に話しかけてみることから始めることをおすすめします。
「雑談」で構いません。「雑談」は「意味のあるムダ」です。
「雑談」ができる間柄になれば、フィードバックを受ける機会も増えます。そうなると、自分に求められるレベルを把握しやすくなり、結果につながりやすくなります。
おのずと、自己評価と上司評価のギャップが縮まりやすくなるのです。
くれぐれも感情的に上司にクレームめいた異議申し立てをしないようにしてください。
45歳を過ぎて感情的な言動をする人材は決して評価されないからです。