「いったい、なにを求められているかわからない。」
「これ以上考えても、求められている回答に近いアイデアは出てこない。」
「正解がわからないと、考えが先に進まない。」
上司から与えられた仕事は、必ずしもアウトプットの最終形がはっきり示されないことがあるものです。そんなとき、思考が止まってしまい先に進めないことがあります。
そもそも、上司の指示が的確かつ明瞭であれば悩む必要もないかもしれませんが、それは、「答え」がある場合でしょう。
実際、思考が止まってしまう人は、一度自分が出したアウトプットが正しいととらえがちで、それを一旦離れることができません。そうなると、思考が一定の場所をグルグルと堂々巡りしてしまい、益々思考が止まってしまう悪循環に陥ります。
こんな場面、まだ20代・30代ならば思考停止の状態が続いても「成長途上」と好意的に受け止めてもらえますが、45歳を過ぎるとそうはいきません。
「答え」がないからこそ、それに行きつく道が見えずに困ってしまうという人がいらっしゃると思います。
「答え」がない課題に、的確に対応できれば、存在価値が上がると思いませんか。
そこで、今回は、あいまいな上司の指示に対応するための3つの方法をお伝えしたいと思います。
【目次】
1.ボールペンで紙に書きだす
堂々巡りしているとき、自分の頭の中で考えを巡らせている人が多いと思います。もちろん、考えるわけですから、自分の脳をフル回転させなければいけませんが、このことが考えを堂々巡りさせている原因の一つです。
自分の脳をフル回転させているとき、「アイデアが浮かんでは消え」の状態が繰り返されています。「アイデアが浮かんでいる」瞬間は、それを認識できますが、消えてしまうと忘れてしまいます。
そうなると、「あれ?あのとき浮かんだアイデアってなんだっただろう?」ということになります。それを思い出そうとしても、不思議なことになかなか思い出せません。
そこで、自分の頭の中で考えを巡らせるのではなく、考えを「ボールペンで紙に書きだす」ことをおすすめします。
「ボールペンで紙に書きだす」ことで、浮かんだアイデアを可視化し、かつ、記録することができます。鉛筆と違って簡単に消すことができないため、考えのプロセスも記録できます。
たとえば、一度書いたアイデアが何となく違うと感じても文字の上に取り消し線を記録することでプロセスが残せます。意外と一旦違うと感じたアイデアが、実は大切なアイデアだったりするので、残すことが効果的なのです。また、アイデア同士のつながりや、アイデアを要約することもできます。
もっとも、文字が消えないボールペンを使うことが大切ですね。
2.正解を追い求めない
与えられた指示に対して、上司も正解を持ち合わせていないことがあるものです。したがって、完璧な状態で上司に回答しようとすると、思考が止まってしまいます。完璧な状態がどの程度であるかを推し量ることができないからです。
限られた時間で成果を出すためには、上司と方向性をすり合わせることが極めて重要です。
思考が止まってしまうとき、求められているものが見えていないことに加えて、この方向性がすり合っていないことも原因となります。
そこで、アウトプットを細かく出すことをおすすめします。具体的には、60%の完成度で一度上司と方向性をすり合わせるのです。タイミングは、指示を受けてからなるべく短期間であることがポイントです。
短期間であれば、60%の完成度でも上司は受け入れてくれるでしょうし、それをヒントに考え方が変わる可能性もあります。上司とのすり合わせが、新しい方向性が見いだされることもあります。なにより、上司は案件が動いていることを認識できますから、上司の安心感にもつながります。
完璧なアウトプットを出そうとするあまり、思考が止まってしまうと完成までに要する時間も増えます。
60%の完成度で、考えながら走る、という意識が必要です。
3.目的を考える 「できる理由」を探す
求められていることがわからないときは、目先のことに意識が集中していることがあります。たとえば、どういう報告様式にすることがいいのか、上司が気に入る構成になっているか、等です。
会社の仕事ですから、成果を出さなければいけません。しかし、それは上司の顔色をうかがうこととは異なります。
上司の顔色を伺いはじめると、なるべく失敗しない方法を取ろうとします。つまり、求められている課題は何を解決することにつながるか、という目的を見失ってしまうことにもなりかねません。
上司の指示があいまいで困ってしまうとき、そのあいまいな指示の裏にある仕事の「目的」を自分なりに一度考えてみることをおすすめします。
「指示に対応して、課題を解決するには何が必要か」
「指示の先にある漠然としたものは何か」
「指示を実現すると、組織にはどのようなメリットがあるのか」
自分で目的を設定できるまで考えることが必要です。ただし、それも(仮)の状態、つまり仮説レベルの設定で構いません。
仮説を設定して、動いてみる。この動いてみるということが、2.正解を追い求めないに書いた60%の完成度で上司とすり合わせすることでもあります。
ここで、もう一つ大切なポイントをお伝えします。
それは、「できる理由」から発想していくことです。
「どうすれば実現できるか」という意識を持たず、「○○ということが問題になりそうだ。だから実現は難しいかもしれない。」といった「できない理由」から発想すると、思考が止まってしまうからです。
4.まとめ
私は、「上司の指示があいまいになるのは、実は上司も答えをもっていないから。」と捉えるようにしています。
つまり、指示された方向性の中で、フリーハンドで自分なりの解決策を立案できるチャンスと認識しているのです。そして、「できる理由」から発想していくことで、思考が止まることを回避することができます。
組織の中で存在価値のある人材になるには、前例にとらわれることなく、何かを創り出すチカラを発揮することが必要です。
「あいまいな指示」から答えを導き出すということは、何かを創り出すということにほかなりません。
「上司のあいまいな指示」を受けると、モヤモヤした気持ちになってしまいますが、自分が価値を創出するチャンスととらえると、見え方が変わってくると思いませんか。
今回お伝えした3つの方法が、お役に立てば嬉しく思います。