人事異動が納得できず、転職を考え始める人は多いのではないかと思います。
45歳を過ぎて、自分が想定していなかった部署への異動は、自分のキャリアを考え直すきっかけになるからです。
しかし、自分が望まない異動がきっかけで転職を考え始めるときに、見落としてはいけないことがあります。
それは、
なにが自分の不満を呼び起こしたか
ということです。
転職は現状を変えること
あたりまえのことですが、転職とは会社が変わることです。現状が変わります。一般的に人は現状維持を好むと言われいるにもかかわらず、現状を変えようとするわけですから、相応の決意が必要になります。
しっかりと見極めておくべきは、自分の意思です。
「ほんとうに現状を変えたいのか」
「現状を変えることで、得られるものは何か」
この2つの問いに、自分なりの答えが出せるかがポイントになります。
前向きか後向きか
転職は自分で自分のキャリアを主体的に選択することです。したがって、転職を考え始めるきっかけが前向きなものであれ後向きなものであれ、本人がそれで良しとしているならば問題ないと言えます。
しかし、私は転職を考え始めるきっかけが後向きなものであるならば、相当慎重に考えることが必要だという考えを持っています。
それは、自分が会社に対して感じている心理的な条件に満足していないことが原因となっていることが多いからです。会社に対して感じている心理的な条件とは、仕事の任され方、上司・部下との関係、会社からの期待といった暗黙の労働条件と捉えてください。
簡単にいうと、「自分が会社から認めてもらっていない」という不満とも言えます。
不満が原因ならば転職するな!
心理的条件に満足できていないということは、自分が会社に期待している非金銭的な報酬に満足できていないということです。なんとか改善したいと考えることは不自然ではありません。
しかし、このような不満が原因となっているならば、転職することは見合わせるべきと私は考えます。
理由はただ一つ。
心理的条件に満足できていない状況の原因を解決できないため、会社が変わっても、同じような状況へ対処することができないからです。転職を繰り返す原因になります。
45歳を過ぎた転職で、このような状況に陥るとリカバリーができなくなる恐れがあります。失職を避けるべく、最悪の場合、自分がまったく希望しない仕事に就かざるをえなくなります。
このような状況は、絶対に回避しなければいけません。
どうしても転職したいなら・・・
それでも、転職したくなる場合があると思います。若ければ、「まずは行動ありき!」で構わないのですが、45歳を過ぎるとそうもいきません。
この場合、おススメすることは、ただ一つです。
今の仕事を全力でやってみる
です。
人事異動が納得できないときは、仕事に対する姿勢が後向きになっていることが往々にしてあります。それゆえ、仕事を適当に流してしまいがちになります。そうなると、仕事がどんどんつまらなくなります。そして、自分が期待されていないとか、上司に評価されていないとか、自分では解決できないことにアタマを悩ませるようになります。
こうなると、負のスパイラルが高速回転しはじめ、状況は益々混沌としてきてしまいます。そして、こういう状況を回避したくなり、転職したい!という思いが強まってしまうのです。
理屈を抜きにして、 今の仕事を全力でやってみると、見えてくることがあります。
新しい仕事への興味であったり、おもいもかけず面白味を感じたり、上司や部下から認めてもらったり、気づいていない景色が見えてくるのです。
まとめ
人事異動に納得ができないときこそ、自分の仕事への姿勢を振り返ることが大切だと、私は考えます。
負のスパイラル状態で転職を決断することは、自分のキャリアの方向性を大きく狂わせてしまいます。
冷静に、しっかりと自分と向き合い、自分の進むべき道を見定め、45歳からのキャリアを切り拓いていただきたいと願っています。