40歳を過ぎてから転職するとき、気をつけなければいけないことがあります。
それは、「社会人、サラリーマンとしての経験が20年以上ある」ということによる準備不足を招く慢心です。
「社会人、サラリーマンとしての経験が20年以上ある」と、良くも悪くも、その場を切り抜ける術を身につけていたりします。そのため、自分の経験そのものを伝えることができれば、あとはその場の雰囲気で乗り切れるであろう、という根拠のない自信をもってしまいます。このことが準備不足を招く慢心につながります。
転職面接で、最低限準備すべきことについて、明らかに準備が不足している人を目にすることが多いからです。
最低限準備すべきこととは何か。
それは、応募先企業が持つ価値観と自分の働くことに対する価値観のすりあわせです。
応募先企業がどういう理念で事業を行っているか、ということを経営理念や商品・サービスを通して理解せずに、公募要領や会社案内等で「なんとなく理解」している状態で面接に臨むことは避けなければいけません。
40歳を過ぎてから転職するときは、社会人としての基礎力や専門力が備わっていると錯覚してしまうことがあります。
錯覚というのは、社会での通用性があるか否かを冷静に判断せずに、過大評価してしまう場合に起こるのです。そして、あたかも自分の経験・能力・スキルを活かして会社業績に貢献できる「機能人材」として会社の一員になる自分を考えてしまいがちになります。
それゆえ、「できる自分」を想定してしまい、自分が働くうえで大切にしている価値観に意識がいき、応募先企業が持つ価値観に意識がいかないのです。
それゆえ、応募先企業が持つ価値観に合わせることができると無意識に感じることも、少なからず影響します。
応募先企業が持つ価値観は、経営理念に端的に表れていますが、「キレイな言葉」で書かれていることや社会に貢献しようという会社としての姿勢が書かれていることが多いものです。したがって、文言だけで表面的に「共鳴した」気になりがちです。
表面的に「共鳴」しただけでは理解したことにはなりませんし、それでは、応募先企業が持つ価値観と自分の働くことに対する価値観とすりあわせすることはできません。
経営理念をどのように実現しているか、ということを通して、理解することが必要です。それは、企業が提供している商品・サービスの届け方、使われ方を自分の目で確かめるという準備にほかなりません。
そのためには、全力で応募しようとしている会社のことを知るという準備が必要になるのです。
会社の歴史 ⇒ どのような軌跡をたどったのか、創業の理念を知る
会社の事業計画 ⇒ 将来、どのような計画で事業継続を考えているかを知る
会社の業績 ⇒ 将来性があるか、どのような顧客を対象としているかを知る
会社の商品・サービス ⇒ どのような目的で、どのように提供しているかを知る
会社の所在地 ⇒ 創業の意味とつながりがないか、所在地を定めた目的を知る
これらはあくまでも一例です。
たとえば、新規営業等で取引したいと考えている会社へアプローチするとき、なんとかしてその会社の情報を入手しようとしませんか?
転職は、自分を売り込む新規営業です。
自分と応募しようとしている会社との接点を見つけようとするならば、その会社を知るためにあらゆる手を使って準備が必要になるのです。
この準備は、価値観のすりあわせということを通して、自分と応募先企業との接点を見出すことにほかなりません。
接点の数をたくさん見つけ出すことで、自分が貢献できる具体的なイメージもわきますし、なによりも応募先企業で働きたいという意思をもつことができます。
この準備ができていれば、面接のときも、自分の言葉で応答できるほか、想定していない問いかけにも柔軟かつ説得力をもった応答ができます。
応募先企業と自分との接点を数多く見出す準備。
40歳を過ぎた転職では、最低限必要な準備です。
時間をかけて自分の言葉で接点を表現できるような準備を心がけてみてください。
本日も、お読みいただきありがとうございました。