誰しも一度や二度は自分の処遇に対する要望や不満等を訴えたいときがあるものです。そういうときの窓口は、一般的には「人事部」です。
人事は、労務管理や安全衛生管理のほか、人的資源管理の観点から人材配置・育成といった役割があります。社員の要望や不満等に対応することは人事の仕事ですから、まっとうな人事パーソンであれば、秘密を厳守して真摯に向き合うでしょう。
しかし、要望や不満等を上手に伝えないと、逆効果になる場合があります。
21年も人事の仕事をしていると、人事部をうまく活用する人とそうでない人の違いがはっきりとわかります。
そこで、今回は、40歳を過ぎてから自分の要望や不満等を上手く伝えて、会社の中での存在価値を上げる方法をお伝えします。
【目次】
やってはいけないこと
社員の要望や不満等に真摯に向き合うことが人事の仕事です。したがって、どのような状況でも傾聴の姿勢を保つことでしょう。しかし、社員が自分の権利ばかりを主張したり、裏表のあるような態度をとる場合、その社員の資質に”?”をつけることが一般的です。
自分よりも上の立場の人には平身低頭、そうでない人には横柄な態度をとったりする人がその代表格です。
たとえば、
給与計算をしている若手の人事部社員に対して、横柄な態度をとっているにもかかわらず、人事部長や人事課長にはそういう態度を見せない裏表のある人。
人事制度上の不満を、人事部長には言えないにもかかわらず、中堅の人事部社員には高圧的に文句を言う人。
人事でのこういった行為は、プロフェッショナルな態度とは程遠く、その人の「品格」として人事部内で定着してしまいます。
その結果、「つかえない社員」「めんどくさい社員」「文句いい社員」という見方をされるようになり、会社の中での存在価値が下がります。
経験的に、こういう人は概ねパフォーマンスが低く、問題社員であることも多いです。
横柄な態度、裏表のある態度を人事が気づいた時点で黄色信号が灯ります。
メールで要望や不満などを伝えること
自分個人の要望や不満等をメールで伝えることは、なるべくならば避けたいものです。もっとも、人事と直接話をするには、距離的・時間的に難しい場合があることもわかりますが、往々にして書き言葉は、話し言葉のような伝わらないのでそれなりの工夫が必要になります。
事務的な内容ではなく、自分個人の処遇等にかかわる内容の場合は、「権利だけを主張」しているようにとらえられる恐れがあるからです。
そこで、お勧めしたいのは、メールでアポイントを取り、なるべく面会の場を設けることです。面会が難しければ、電話でも構いません。
言葉の意味は、表情、見た目などの視覚情報、話し方や話すスピードといった聴覚情報が大きく影響を及ぼすからです。(メラビアンの法則によると、話の内容といった言語情報は、全体の7%程度しか影響を及ぼさず、視覚情報は55%、聴覚情報は38%もの影響を及ぼすと言われています。)
デジタルコミュニケーションは便利ですが、大事なことほど、話し言葉を通して伝えることが重要です。
40歳を過ぎた人に相応しい伝え方をしよう
40代になったならば、自分の権利だけを主張してはいけません。主張する場合、それが会社にとってどのような影響を与えるかを斟酌することが必要です。それゆえ、自分の権利を主張する目的を明確にすることが必須となります。
目的を明確にして、自分の要望や不満等を伝える価値があると自信をもって確信できるならば、横柄な態度ではなく、謙虚な姿勢で伝えることを心がけてみましょう。
人事部の社員も人の子です。謙虚な姿勢で接してくる社員の話は受けとめやすくなります。こんなことは当たり前のことですが、意外にできていない人が多いのです。
もし、人事部に物申す!という時がきたら、参考にしてください。