会社勤めをしていると自分のキャリアは会社任せにしてしまいがちです。
それゆえ、なんらかのきっかけがないかぎり、あえて時間を設けないと自分のキャリアを振り返る機会を持たないものです。
なんらかのきっかけとは、「もう少し自分の専門性を活かした仕事をしてみたい」「定年までの間に自分らしい仕事をしてみたい」というポジティブな思いや「自分の将来が暗い見通しだ」「後輩にも昇進で追い抜かれた、今後どうやっていけばいいのか」というネガティブな思いなど様々です。
自分のキャリアを考えるためのまとまった時間はとらないものの、自分の将来をまったく考えない人は少ないはずです。日々、無意識に自問自答しながら自分のキャリアの方向性を確かめていると思います。
45歳を過ぎると社会人として折り返し地点をまわったところです。
今勤めている会社で働き続ける、他社へ転職する、起業する等選択肢があるなか、自分にもっとも適したキャリアの選択が必要となる時期でもあります。
45歳を過ぎると、会社における自分の存在価値がわからなくなり、将来のキャリアに大きな不安を抱えることがあります。不安を抱えて仕事をすると、成果が上がらなかったり、転職することが打開策のように思えてしまうことが往々にしてあります。
不安を抱えることは理解できますが、将来のキャリアへの不安が、パフォーマンスを低下させたり、しっかり考えずに転職したりすることは絶対に避けなければいけません。
不安を最小化するには、自分のキャリアを振り返り、将来の自分の働き方を自分の言葉で確かめることが効果的です。
そこで、今回は自分のキャリアを振り返るための3つのステップをご紹介します。
忙しい毎日にあっても、3つのステップを意識すれば、細切れの時間を活用して自分のキャリアを振り返ることができるようになります。
【目次】
ステップ1:自分を形づくった経験を分析する
自分のキャリアを振り返るとき、自分の人材力を分析することが必要となります。
私は、人材力はつぎの公式で表すことができると考えています。
【人材力】=(【基礎力】+【専門力】+【再現力】)×【人間力】
人材力は持って生まれた才能もあるものの社会人として経験したことを通して後天的に得られたものが大部分を占めると捉えています。そして、社会人としての経験は人それぞれ異なり、それの解釈によって後天的に得られたものの価値が決まります。
そういう意味で、成功した経験だけではなく失敗した経験、結果にはつながらなかったものの没頭した経験、なにかのめぐりあわせで取り組むことになった仕事の経験、さまざまな人との出会い、といったことのうち、自分にとって「意味があった」と捉えている経験が、今の自分の人材力を形づくったと言えるのです。
人材力を構成する4つのチカラ、【基礎力】【専門力】【再現力】【人間力】を身につけた経験は何か。
この視点で自分を形づくった経験を分析することが必要です。
ステップ2:自分の仕事は誰のニーズにこたえるものか
つぎに、自分の仕事は、「誰の、どんなニーズにこたえているものか」という視点で、自分の業績を振り返ることが必要となります。
会社勤めをしていると、自分の仕事は組織の目標の一部を担っていることと捉え、「誰の、どんなニーズにこたえているものか」という視点で捉えることは多くありません。
組織の中で仕事をしていることを前提にするとこの視点で捉えることは簡単ではないかもしれませんが、この視点で自分の業績を捉えなおすことで「自分の人材力を活かして提供できる付加価値」を自分の言葉で語れるようになります。
自分が提供できる付加価値を、自分の経験を通して培った人材力の視点 で伝えることは、「自分の強み」を伝えることになるため、このステップが重要になります。
ステップ3:自分の戦略を考える
最後は、ステップ1とステップ2を踏まえて、「自分はどう働いていくのか」という戦略を考えることです。
45歳を過ぎると会社から高い水準の成果を求められます。この期待に応えることができなければ、会社における存在価値がなくなり居場所を失いかねません。
自分のキャリアを振り返るきっかけになる「もう少し自分の専門性を活かした仕事をしてみたい」「定年までの間に自分らしい仕事をしてみたい」というポジティブな思いや「自分の将来が暗い見通しだ」「後輩にも昇進で追い抜かれた、今後どうやっていけばいいのか」というネガティブな思い。
いずれの場合も、「自分はどう働いていくのか」という戦略が明確になっていることで方向性を見出すことができます。
戦略という言葉から難しく感じるかもしれませんが、「自分はどう働いて成果をあげるのか」ということを意識することができればじゅうぶんです。
自分の気持ちに正直になって、働き方戦略を考えることが大切です。
まとめ
ビジネスパーソンとしての自分のキャリアを振り返ることは社会人としての自分史を確かめることを意味すると、私は考えます。
自分史を確かめることで、オリジナルな自分の人材力を確かめることができます。
45歳を過ぎて自分の存在価値を確かめられれば、今の会社でしっかりと成果をだすことを考えることになるでしょうし、しっかり考えずに転職することはなくなるはずです。とくに45歳を過ぎてから転職は慎重さが重要になります。
長い人生、しっかりと自分のキャリアを見つめ直し、今後の進み方を自分で決めること。
45歳を過ぎてからのキャリアを切り拓くために、このプロセスが遠回りな近道なのだと、私は考えています。