部下と面談することが、億劫だという人から相談がありました。
「何をどう伝えると、やる気につながるだろうか?」
厳しいことを伝えると、部下がやる気をなくしてしまうことが心配で、当たり障りのないことを伝えてしまう。
表面的な面談にとどめてしまう。
結果として、???が続く空虚な時間が流れてしまう。
こういう悩みをかかえてしまう人は、往々にして真面目な性格の人が多いように感じます。
そこで、上司に、現場業務の効率化を図りつつ、「部下のやる気をひきだすこと」が求められるなか、どのように面談を進めることがよいのか、ということをお伝えします。
【目次】
じぶんをさらけだす
部下のやる気をひきだすために必要とある最初の1歩は、上司である自分が「じぶんをさらけだす」ことだと、私は考えます。
「じぶんをさらけだす」ということは、じぶんと部下との距離感を縮める、部下に安心して話していいという雰囲気を感じてもらうためです。
「上司であるからには、弱みを見せてならない。」「部下の成長につながるアドバイスをしなければならない。」といった思い込みを抱いてしまうことはやむを得ないことです。上司としての威厳をたもつことが重要だと思ってしまうからです。
私は、「じぶんをさらけだす」とは、面談にあたり、つぎの3つの伝えることだと考えます。
じぶんの思いを伝える
じぶんができていないことを伝える
ともに悩み考えていきたいということを伝える
「じぶんの思いを伝える」では、じぶんがチームをどのような方向に向かわせたいか、1年後、3年後、5年後に何を実現したいと考えているか、といった上司としてのじぶんの思いを丁寧に伝えてみることをおススメします。
「じぶんができていないことを伝える」では、じぶんの思いの実現において、できていないことを正直に伝えてみます。上司も思い悩んでいることをあえて伝えることで、部下との接点を広げることにつながります。
「ともに悩み考えていきたいということを伝える」では、じぶんの思いとそれに付随する悩みがあるから、協力してチームを動かしていきたいという正直な気持ちを伝えてみます。ポイントは、上司であるじぶんが「ほんとうにチームを動かしたい!」という思いをもつことです。その思いがあることで、「ともに悩み考えていきたい」が部下に伝わります。
これがフェイクであると、「うわべだけで伝えている」ことが部下に伝わりますから注意しなければいけません。
部下に5年後を夢見させる
じぶんをさらけだし、協力を求めるだけでは、部下のアタマの中は???で一杯になってしまいます。
そのため、面談を通して、部下の5年後を考える時間をつくることをおススメします。
部下が「やりたい」と思っていることは何か
部下が「やらければならない」と思っていることは何か
この2つのこと意識して、部下の好きなことと嫌いなことに耳を傾けてみます。
そして、部下が5年後になっていたい姿を話し合うのです。
5年後を話し合うことは、5年後を夢見させることにつながると、私は考えます。
部下が「やらなければならない」と思っていることと、部下が「やりたい」と思っていることの接点を部下の「過去⇔現在⇔未来」を意識しながら探ることが大切です。
できていることを認め、誉める
一般的に言われていることですが、部下の行動や実績を認め、誉めることを忘れてはいけません。
往々にして面談時は「未完了のタスク」に集中して進められてしまうことがあります。もちろん、このことは必要なことです。しかし、そのウェイトが大きいと「責任追及型」の面談になってしまうので、注意が必要になるのです。
そこで、必要になることは、「未完了のタスク」を確認しつつも、それを「タスクを完了」させるためにできることを話し合う「未来創造型」です。
もっとも、「できていることを認め、誉める」だけではなく「未来創造型」の面談において「未完了のタスク」について、事実にもとづいて厳しいことをあえて伝えることも欠かしてはいけません。この点を欠くと、タスクが前に進まないからです。
そのためにも、上司である「じぶんをさらけだし」「部下に5年後を夢見させる」ことが大切になるのです。
まとめ
今日お伝えしたことは、要するに、「部下と腹を割って話をしましょう」ということです。
そのためには、上司であるじぶんを正直に伝えることが必要になります。これが面談を意義ある機会にするために必須となると、私は考えます。
そのうえで、部下の未来を共に語り、部下の存在を承認し、前に進むための建設的な話をすると、部下も安心して話をすることができるようになります。
面談というフォーマルな機会を、上司であるじぶんと部下の双方に有意義な時間にしたい!という思いを、上司としてもってみるとやりやすいのではないでしょうか。
「人生の大切な時間を有意義な時間にしたい」と誰しも思うわけですから。