どういうわけか部下との会話がぎこちないんだよなぁ~。
伝えたいことが伝わっているのか、まったく実感がわかないし。
わかっているような顔しているけど、期待を裏切るアウトプットしてくるんだよな。
「10歳年齢が離れれば、部下のことは外国人と思え。」とは、私の先輩から教わった格言(?)ですが、部下とのコミュニケーションに頭を悩ませるミドルマネジメントの人は案外多いように感じています。
このようなコミュニケーションギャップに頭を悩ませている時間は、ほんとうにもったいないものです。
上司の言っていることは、よくわからない。
部下の立場からすると、上司の言っていることは「雲をつかむような話」にしか聞こえていないものです。他方、上司の立場では、「良いことを的確に伝えた!」と感じています。
この感覚差が大きければ大きいほど、コミュニケーションギャップも大きくなります。
コミュニケーションギャップは、上司と部下との間で双方が感じる「小さな違和感」が積み重なり、気づいたときには、とりかえしがつかない大きな隔たりになっていることに気をつけなけければいけません。気づいたときには、双方の信頼関係が壊滅状態になってしまうことはよくあることです。
「上司の言っていることは、そもそもよくわからない。」と部下が感じていると想定しておくことが必要なのです。
わかってもらうための秘策とは?
コミュニケーションギャップを解消するために、「呑み会」に誘ったり、やたらと優しく接して面倒見のよい上司を演じたりする人がいます。もちろん、そのこと自体に効果がないとは言いませんが、見え透いた演じ方をすることは避けるべきです。
部下は3日で上司を見限ると言われるくらい、「賢い」ものです。
それでも、上司としての考えや思いをわかってもらわなければ、組織運営に支障をきたします。ミドルマネジメントとして、組織運営がうまくできないことは組織における存在価値を著しく低下させることになります。
部下にわかってもらうための秘策はなんでしょうか?
部下を信頼して、仕事を任せること。
部下を尊重して、意見を傾聴すること。
部下が失敗しても、その責任は上司である自分が負うこと。
等々・・・。
いずれも秘策となりうるものですが、どれもめんどくさそうな感じがします。
私が考える秘策は、つぎのとおりです。
自分の考えや思いを、抽象的に伝えず、具体的に伝えること
なぜ、具体的に伝えることが必要なのか
部下が上司の言っていることを理解できないのは、理解するために必要な前提条件や情報が著しく不足していることに原因があります。上司はこれらを持ち合わせているため、「ザックリ」伝えてしまいがちですが、受け手の部下のアタマの中は、クエスチョンマーク(?)で一杯になってしまうのです。
具体的に伝えることは、あたかも上司と部下との周波数を合わせることを意味します。双方の情報感度にズレが生じないようにするのです。具体的に伝えることで、双方の認識が整います。
それゆえ、コミュニケーションギャップの解消につながるのです。
とにかく、「具体的に伝える」ことに意識を集中すべきなのです。
まとめ
コミュニケーションギャップを生み出す原因は、多くの上司が自分の考えや思いの抽象度を下げて具体化するための術を持たないことにあるのです。
抽象的に伝えることで、解釈の幅が広がり、発想も無限に広がるように感じられます。上司にとっては、便利で都合のよいことが多いのです。
それゆえ、具体化するための術を身につけられていない人が多いのです。
もっとも、見方を変えれば、抽象化して伝える術は身についているわけですから、具体化するための術を身につけてしまえば、コミュニケーションギャップは格段に解消されるでしょう。
具体化するための術は、実は難しいものではありません。
抽象的に表現している考えや思いを構成している因子を分解すればいいだけだからです。
「自分の考えや思いは、どういう経験や出来事を通して形成されたのか。」という振り返りをすることで、具体化が可能になります。
逆に言えば、因子の分解ができないことは、「自分でもよくわかっていないこと」とも言えます。こういう場合、自分の考えや思いを今一度考えなす必要があります。「自分でもよくわかっていないこと」を他人である部下がわかるはずがないからです。
45歳を過ぎて、組織の中で存在価値のある人材になるためには、自分の考えや思いを的確に部下に伝えるマネジメント能力が必須になります。そのためのトレーニングとしても、「具体化するチカラ」を意識して過ごすことは意味があると、私は考えます。
続ければ必ず身につきます。諦めずに、少しずつ取り組んでみませんか!