仕事ができない部下とのかかわり方にいつも悩まされている方は多いのではないでしょうか。人事に携わっていると、管理職の方々から部下のマネジメントにかかわる悩みを抱え、部下指導、動機づけに心を配っている40代のビジネスパーソンと接することが多いので、そのように感じます。
とくに50歳代を過ぎたバブル入社世代の管理職は、自分は部下とのかかわり方が不得手だと感じることがあるように感じます。自分たちが仕事の取り組み方を怒られたり、誉められたりしながら見よう見まねで身につけてきたことから、かかわり方がよくわかなかったりするからでしょうか。
部下マネジメントに自信を失う
最近では少し厳しく接すると、「〇〇ハラスメント」だと言われないかとビクビクしながら部下とかかわるようになったりして、部下マネジメントに自信を失うケースも見受けられます。
たとえば、同じことを何度言っても理解しない部下や、仕事の納期直前まで進捗報告をしない部下には、諭すように接して部下自ら気がつくようにはたらきかけても、改善が見られないことがあります。
私が接するのに苦労した仕事ができない部下の典型パターンは、このような2パターンでした。
前者は学習不能型、後者は時間切れバタバタ型と言えます。
いずれも、「報告・連絡・相談」が徹底されれば、問題が生じる可能性は低くなります。そこで、部下に適宜報告するように伝えるよう指導するわけです。しかし、三日もたてば報告しなくなり、上司である自分が報告を促さないかぎり何にも反応がなかったりします。そんな状況におちいると、「自分の伝え方が間違っているのではないか」と感じたりするものです。
部下に考えさせる6つの質問
でも、そんな部下にもつぎの質問をすることで、「報告・連絡・相談」が三日坊主で終わらなくなり、部下マネジメントの悩みが小さくなります。
つぎの6つのことを仕事を任せる前に部下に投げかけます。
(1)何を
(2)いつまでに
(3)どのような品質で
(4)そのために自分はどうするか
(5)それができたとき、どんないいことが起こるか
(6)それができなかったとき、どんなわるいことが起こるか
この質問は、仕事ができない部下に対して、仕事の達成基準を共通の話題として認識し合うことができるという利点に加えて、仕事に向き合う部下の感情を部下自らの言葉で語ってもらうという利点も兼ね備えています。
とくに、「(5)それができたとき、どんないいことが起こるか」では、部下自身の有能感を引き出し、「(6)それができなかったとき、どんなわるいことが起こるか」では健全な危機感を引き出すことができます。
部下の感情を「見える化」できることが、上司が喚起することなく部下のやる気と危機感につながることにつながるのです。
まとめ
仕事ができない部下とかかわることは、実に悩ましいものです。指導には相当の時間を要しますし、部下のためと考えた指導がハラスメントだと訴えられたりするからです。
しかし、仕事ができない部下をマネジメントできるようになれば、組織の中における存在価値は間違いなく高まるでしょう。45歳を過ぎたビジネスパーソンとして、自分の経験を踏まえて部下の成長につながるマネジメントができれば、転職しようとするときの武器にもなります。
それゆえ、仕事ができない部下とのかかわりも自分の経験につなげるというポジティブに考えて取り組むことが大切です。
本日お伝えした6つの質問は、仕事ができない部下とのかかわりの悩みを最小化することに役立ちます。6つの質問を通して、部下と共通の話題を持ち、コミュニケーションをとることができるようになるからです。
部下にイライラする時間を短縮し、部下が自分の仕事への姿勢を自らの言葉で考えるきっかけを6つの質問で引き出してみてください。
部下の行動が少しずつではありますが、変わってきますよ。