順調に転職活動も終えて、現職へ退職することを伝えようとしているにもかかわらず、「迷い」がでることがあります。45歳を過ぎた転職では、20代、30代のそれとは異なり、限られた機会を後悔しないようにしたいものです。
そうは言っても、転職先の会社でうまくやっていけるか、不安に感じることは自然なことです。ようやくつかんだ転職の機会を失敗したくないという思いが「迷い」につながるからです。
どうすれば、「迷い」を最小化できるでしょうか。
今日から3回に分けて、『迷うことなく、転職を最終決断するために必要な3つの条件』をお伝えします。
45歳を過ぎた転職を後悔や失敗したと感じないためにも、あらためて自分の「気持ち」を整理してみましょう。
【目次】
3つの条件とは?
45歳を過ぎてからの転職では、3つの条件について自分自身で納得しておくことが大切です。
具体的には、つぎのとおりです。
1.資金繰り力
2.環境変化への適応力
3.自分の付加価値創出力
今回は、「資金繰り力」についてお伝えし、「環境変化への適応力」「自分の付加価値創出力」については、明日以降お伝えします。
驚くほど少ない手元資金に愕然としないために
退職月に給与から差し引かれる租税公課を軽視してはいけません。
私自身が43歳で転職したときに経験したのですが、人事の仕事をしていましたので、退職する月の給与から社会保険料(健康保険・厚生年金)が2ヶ月相当分が差し引かれることは知っていました。
ただ、住民税が差し引かれることまで気が回りませんでした。
住民税は前年分の年収に対して課税され、翌年の6月から1年遅れで徴収が始まるわけです(これを、「特別徴収」といいます)。
したがって、3月末の退職月に給与から天引きされることのない4月分と5月分の住民税は、自分が市役所に納付する(普通徴収扱い)ものと認識していたのです。
しかし、3月末の退職月に3月分のみならず、4月分と5月分の住民税も給与から差し引かれたため、手取給与が想定以上に少ない事態に陥ってしまいました。
給与担当者に聞いたところ、おおむね1月以降に退職する場合、退職月に既に確定している住民税を一括給与控除するとのこと。
やむを得ないと納得したものの、準備が足りていなかったため、愕然としてしまいました。
他方、退職金についても勤続年数に応じて課税される場合があるため、退職前にしっかりと人事担当者から説明を受けることが大切です。
私が退職を最終的に決めた時期は、退職日の約1ヶ月半前だったこともあり、しっかり準備できなかったことが大きな要因だったとつくづく思います。
ゆえに、退職を申し出る時期は少なくとも2ヶ月程度余裕をもつことをおすすめしたいです。
将来の見通しは、自分で切り拓く
転職時点での処遇は書面で明示されますが、その後の自分の処遇を数年先まで見通すことは簡単ではありません。
45歳を過ぎた転職者に求められること、「短期間で業績に貢献できる人材」であることです。
業績が上げられなければ転職後の会社に居づらくなることは間違いないでしょう。
場合によっては、自主退職を迫られるかもしれません。
万が一、転職後の1,2年で業績を上げられないことも想定して、「いつまでならば、あるいは、どの程度までならば、給与処遇が下がってもやっていけるか」を自分なりの落としどころを持ち合わせることが大切です。(ある意味、「腹をくくる」ことでもあります。)
自分のライフプランとしての「資金繰り力」を見定めておくことは、「不安」要因を軽減することにつながります。
「不安」が軽減されれば、転職後の会社で自分の経験を活かして、前向きな行動を取りやすくなります。
将来を見通すことは簡単ではありませんが、「自分で将来を切り拓く」ことは、自分次第でやりとげられます。このような姿勢を持ち合わせている人材は、転職直後に目覚しい業績を上げられなくとも、周囲からの評価も高まってくるものです。
まとめ
あたりまえの話ですが、転職するにあたり経済的な環境変化に備えることが大切です。
1.転職直後の「資金繰り力」はどの程度か。短期的に耐えることはできそうか。
2.転職した後、数年間にわたる「資金繰り力」をどのように見極めるか。
中期的にどのように自分の経済的な環境を築いていくか。
「転職後は、なるようになるさ」というせりふを聞いたことがあるかもしれません。
もっとも「なるようになるさ」は、備えを怠ってもいいという意味ではないと考えます。
転職を前向きに決断するためにも、自分の「資金繰り力」を見極めることは、転職の「迷い」を少なくするための条件です。
明日は、2番目の条件である「環境変化への適応力」についてお伝えします。