自分の提案が上司に承認してもらえず、悩んでいる人から相談がありました。
何度提案しても、うまくいかない。
その人は入社15年目の男性で、新人教育のメンター制度導入を任されていて、2年後の完成がタスクとのこと。
あせる気持ちから、今すぐにカタチにしたいという思いがあり、最初から全社導入を提案したようです。
いろいろ考えた結果ですが、現場の理解が得られない、マネジャーがやらされ感で取り組む、導入の手続きが不足している等々、ダメ出しの連発。
どうにも次の打ち手を考えることができなくなってしまったようでした。
せめて、これ以上ダメ出しをもらいたくない
この気持ちが、もうこれ以上提案できない、自分ができることはやり尽くした、という思いに至り、行動できなくなっていることに困り果てていました。
なぜ、そうなのか
そこで、提案するときに自分が期待している結果を聞いてみました。
即決断してもらい、自分の思い通りに進めたい
こう彼は答えました。
私:「それ、辛くない?」
彼:「辛いです。」
私:「自分の期待通りにならないと何が起こる?」
彼:「自分を否定されたと感じます。」
私:「上司が君を否定していなくて、提案について、改善ポイントを指摘しているだけだとしたら?」
彼:「そんなこと考えたことありませんでした。でも、気持ちは楽になります。」
自分が否定されたと感じたくないことが、彼の行動を鈍らせる原因だったことがわかりました。
思考のフレームを変える
私:「上司からのダメ出しは、もう少し考えるきっかけになると捉えてみれない?」
少し冷静になった彼は一呼吸して、「たしかに。」
私:「あなたの提案は、会社にとってどういう位置づけ?仮説の提案じゃないの?」
彼:「最終案としての提案と捉えてました。でも、上手くいくか検証できてません。ダメ出しされたくないという気持ちが強くて、さらに自分を否定されていると思い込んでいました。」
悩みごとに対するフレームを変えることで、彼にとってボトルネックになっていることが明らかになりました。
100点満点を狙わない
完璧主義の人は、とかく、100点満点を目指して、そうでなければいけないという観念を持ちやすいです。
優秀な高校、大学を卒業した彼は、100点満点を取れない自分にOKを出すことができず苦しんでいました。
自分で苦しむことをあえて選択していたことに気づいた後は、その感覚を手放すことを決めました。
そして、提案してダメ出しされることは、より良い提案につながることと気づき、ダメ出しの原因を探り始めました。
探り始めると、ダメ出しの原因は、メンター制度導入にかかわる実績がないことに気づきました。実績がない制度を導入することで、組織内の軋轢を小さくしたいということが、上司がダメ出ししている原因だったのです。
まとめ
100点満点を狙うと、それを達成できないときに、自分を否定されたと感じやすくなります。
むしろ、自分の提案は仮説検証の一端であるという捉え方をすることができれば、自分の行動が鈍ることはなくなります。
物事は捉え方しだいです。
原因を探り、捉え方のフレームを変えることで、目の前の景色が変わります。
景色が変われば、行動の範囲も広がります。行動の範囲が広がれば、行動の絶対量が増えますから、成果を上げることにつながりやすくなります。
自分の行動が組織にとってどのような貢献につながるかを考えることで、自分だけではなく、組織のメリットを視野に入れる思考パターンを身につけたいものです。
それは全体最適視点をもった人材とみなされる第一歩です。
40代のビジネスパーソンであれば、この視点を持ち合わせることで、存在価値のある人材になれます。
もし、「自分の提案が通らずに、自分が否定されている」と感じているならば、試してみてください。
きっと、悩み事が軽くなるはずですから。