転職するしないにかかわらず、自分の市場価値を確かめたいという人がいます。
今よりも自分をバージョンアップしたいという思いが、自分の市場価値に関心を持つことにつながっているならば、キャリアを振り返るという点でよいことだと思います。
ところで、そもそも「市場価値」はどのようにすれば確かめられるのでしょうか。
一般的には、転職エージェントを通したキャリアコンサルティングを受けると、想定年収を確かめることができます。個人の職務経歴を数多くの求人情報と照らし合わせて、想定年収を知ることができます。
つまり、「市場価値=想定年収」という捉え方です。
もっとも、一般的に45歳を過ぎると、現在の年収を超える条件で転職を実現することは難しいと言われます。
私が43歳で転職したとき、ある転職エージェントのキャリアコンサルタントからは、こう言われました。
「英語が使えないと現在の年収の75%の年収が想定される」
人材採用は、企業にとって投資です。
投資であるからにはリターンを求めます。
確実にリターンが見込まれなければ、若年者と比較して年収水準が高い中高年齢者の採用に慎重になることは当たり前のことです。
このように、「市場価値=想定年収」を通して、ある程度は確かめられますが、それだけがすべてとは思えません。
多くの転職者の職務経歴書を目にすると、「市場価値=想定年収」は一つの目安に過ぎないと感じています。
大切なことは、価値ある人材として自分を認めているか否かという視点です。
【目次】
1.価値ある人材として自分を認めるとは
これは、単に自己評価が高ければ良いということではなく、自分の経験やスキルを高く売るための視点が大切です。
45歳を過ぎた転職は、転職後の会社で求められる役割レベルは高くなります。
したがって、期待される役割を担うことができる人材であることを的確に伝える準備(自分の経歴の棚卸)が必要となります。そして、自分を価値ある人材として売るポイントを明確にすることです。
それは、「市場価値=想定年収」に影響を与えます。
2.経歴は3つの視点でとらえる
自分を高く売るポイントは、ロバート・カッツ理論をもとにとらえることをおすすめします。
ロバート・カッツ理論は、
- 「テクニカル・スキル」
- 「ヒューマン・スキル」
- 「コンセプチュアル・スキル」
の3つから成り立っているマネジメント理論です。
「テクニカル・スキル」とは、実務遂行能力。実務を遂行するための基礎的な能力です。
「ヒューマン・スキル」は、対人関係能力。コミュニケーション能力です。
「コンセプチュアル・スキル」は、課題形成力や問題発見力と関連する能力。構想する能力です。
この3つの視点でとらえると、自分が持っている能力を相手が欲しくなるように説明しやすくなります。
3.「要するに何が売り」であるかをまとめる
職務履歴書は、自分カタログ、つまり、自分を説明する商品カタログです。
しかし、単に経験したスペックを羅列するような書き方では、代替可能な商品に見えてしまいます。
たとえば、人事部門で、人事制度改革や社宅制度改革にかかわる経歴に関して、つぎのチカラを発揮したと記載した場合はどうでしょうか。
計画力(テクニカル・スキル)
対人折衝力(ヒューマン・スキル)
企画開発力(コンセプチュアル・スキル)
なんとなく、計画力や対人折衝力や企画開発力が必要だったんだろうなと推測できますが、そのチカラを発揮していたときをイメージしづらいです。
また、どこにでもいそうな当たり障りのないまとめ方に見えます。
一方、同じことを、つぎのチカラを発揮したと記載した場合はどうでしょうか。
全体最適化推進力(テクニカル・スキル)
修羅場対応力(ヒューマン・スキル)
新たな仕組み構築力(コンセプチュアル・スキル)
こちらの方が、「お!どんな行動したのか、聞いてみたい」と思わせるまとめ方になっていて、そのチカラを発揮していたときをイメージしやすいです。
この人物ならではのまとめ方に見えます。
自分の経歴と発揮したチカラを、相手にも、そして自分にも魅力的にまとめることに着目することが大切です。
4.まとめ
相手が欲しくなるような見せ方は、自分のキャリアを自分の言葉で肯定的に捉えることに良い影響を与えます。
その結果、つぎのような好循環が生まれます。
素直に自分のチカラを認められる
↓
転職するしないにかかわらず、仕事の原動力になる
↓
結果として 成果につながる
↓
キャリアに厚みがでる
↓
市場価値が高まる
↓
自分の中での市場価値が高まる
自分の中での市場価値が高まれば、自分の居場所や活かし場を自分で自分のチカラで発見できるようになります。
自分を高く売り込むには、決して安売りしないこと。
そのためにも、自分オリジナルな経歴のとらえ方が、とても重要になるのです。