同じ会社に同期入社した仲間は、かけがえのない存在です。
仕事の悩みや愚痴をお互いに言い合って、励ましあいながら社会人として同じ階段を上る同志だからです。
もっとも、20年近く働いていると、同期の間でも昇進に差がでてきます。
「同期のあいつと比べて、俺はまだまだ課長にもなれていない。」
「どうして自分は昇進が遅いんだろうか。」
出世している同期と自分を比べてしまうことで、自分をみじめに思ってしまったり、自信を失って悩んでしまうことがあります。
自分の本来の存在価値を自分で認めることができなくなって、停滞感に悩まされているといえます。
そんな人に、お勧めしたいのが、今回お伝えする自分の存在価値を再発見する思考法です。
【目次】
1.たかが「出世」ととらえてみる
昇進・昇格は、仕事のやる気につながるモチベーションの源泉と言えるでしょう。
とくに、「出世」は、会社の経営幹部に近づくステップでもあり、自分が会社で実現したいことを具体化する機会も増えてきます。
しかし、自分よりも「出世」した人と自分を比較して、「やる気」を減らしてしまうようでは、決してプラスにはなりません。
自分にとって「出世」とは何を意味するのでしょうか。
「出世」とは、自己実現に近づくこと
「出世」とは、生き残りゲームに勝利すること
「出世」とは、自分にとっての勲章
「出世」が「自分と他人との競争」というとらえ方をしていると、「勝ち・負け」の視点で自分の存在価値を判断してしまいます。
「出世競争」において、永遠に「勝ち続ける」ことは、簡単なことではありませんし、そもそも「出世」は自助努力が必ずしも実るものでもありません。
出世するかしないかは、自分で決めることができないからです。
出世している同期と比較している悩みがある場合は、自分にとって「出世」が意味することを変えてみることが有効です。
たとえば、「会社から認めてもらおう」「会社に認めさせよう」という思いを持たないことが一案です。
簡単なことではありませんが、「たかが出世、しなくても自分は生き残れる」と思えるようになることが大切なのです。
それでは、どうすれば思えるようになるのでしょうか。
2.自分のオリジナルな「違い」は何か
順番で「出世」ポストが回ってきた時代と異なり、今は、自分で自分のキャリアを構築することが必要な時代になってきました。
中高年者が転職面接のときに希望職種を質問されて、「部長職ができます。」と真顔で答えるという笑い話があります。これは自分のキャリアを構築していなかった人に関する皮肉をこめた話で、社外に出れば社内の肩書は通用しないことを物語っています。
「出世」によって得られた職位は、外形的な信用力を証明する一つの材料ではあるものの、その人のチカラを証明するものではありません。
これからは、キャリアを会社任せにせず、自分で考え、努力して組み立てていく人が「生きるチカラ」を備えた存在価値のある人材として求められます。
組織の一員として、他者と協働して会社に貢献し、かつ、自分ならでは「強み」をもっている人が、長い目で見たときには生き残れる時代になっているのです。
具体的には、つぎの観点で自分を振り返り、存在価値を見出していくことが必要です。
- 会社の経営理念、事業計画における自分の立ち位置
- 部署目標にかかわる自分の期待役割
- 今までの成功体験や失敗体験の棚卸による「強み」「弱み」の再発見
繰り返しになりますが、「強み」「弱み」は、体験をもとに振り返ることが重要です。
- どのような仕事の進め方が成功や失敗につながったのか
- その仕事の進め方は、どのような価値観、仕事への姿勢から生まれたものか
- どのような知識・スキル・経験が必要であったか
- 外部要因が与えた影響はどの程度であったか
「経験」と「自分の仕事スタイル」そして、「自分の価値観」を通して「強み」「弱み」を確認することで、自分オリジナルな「違い」を再発見する。
そうすると、自分の存在価値を高めることに意識が集中し、「たかが出世」と思える基礎が自分の内心にできてきます。
3.自分のオリジナルな「違い」をより進化させる
「強み」「弱み」を再発見した後は、つぎの質問を自分に問いかけてみることで、「違い」をより明らかにすることができます。
- 自分にできて他の人にできないことは何か
- 自分が得意なことは何か
- 自分がやっていて楽しいと感じることは何か
これらの質問は、自分の存在価値を高めるために、自分オリジナルな「違い」に関するアンテナを張ることにつながります。
さらに、自分を活かす場面を創りだすために、何ができるか、という未来を志向する考え方を身につけることができるようになります。
「今」に集中することができるようになり、「他人」との比較ではなく、自分の中にある「内なる自分」との比較をするようになるのです。
4.まとめ
自分を他人と比較することは、それによって自分が前向きになるならば、決して悪いことではありません。
どんな世界でも、ライバルとしのぎを削り、切磋琢磨することで、自分が成長することはよくあることです。
ただ、自分を他人と比較することで、自分が後ろ向きになるならば、その比較はやめることが大切です。
比較すべきは、昨日までの自分。昨日よりも少しでも前進していることを目指す。
- 比較することで自分が鼓舞されるのならば比較し続ける
- そうでなければ、自分のオリジナルな「違い」を再発見する
- 自分のオリジナルな「違い」を活かす場を創りだす
- 「今」に集中して、自分ならでは貢献の場を創りだす
出世している同期と比べてしまうことで悩んでいる人は、このように考えてみると、悩みを解消することができますよ。
時間はかかるかもしれませんが、自分ならではの存在価値を見出し、発揮できるようになれ、必ずどこかで、それを評価してくれる人が目の前に現れてきますから。