「こんど中途採用の面接に行くんですが、いったい何を準備すればいいのか、わからないんです。」
43歳の方から、はじめて転職の面接にむけた準備について相談をうけました。
「入室のときのノックの回数や、ハキハキしたしゃべりかた?」
「自分の経歴を明瞭に伝えること?」
「転職の理由?いや、でも本当のことは伝えられないですし・・・。」
中途採用にかぎらず、面接では、何を聞かれるかはわかりません。
ですから、あらかじめ質問を想定して準備することが王道と言われます。
たとえば、
- 自分の経歴と入社してから活躍したいこと
- 今までの挫折経験とそこから学んだこと
- 自分の希望と異なる部署に配属されたらどうするか
と言った「面接で聞かれそうなこと」を自分の言葉でストーリーにして準備します。
たしかに、こういう準備は大切なことですが、40歳からの転職準備としては、一工夫したいとものです。
そこで、今回は、「40歳からの転職を成功させるためのステップ思考法」をお伝えします。
【目次】
1.応募先の経営理念と事業計画の理解と自分のすり合わせ
「当社の事業計画のどこに魅力的を感じますか?」
「当社の経営理念について、どのように理解していますか?」
経営理念や事業計画は、会社にとっての「アイデンティティ」です。
したがって、この「アイデンティティ」と応募者の「アイデンティティ」のマッチングはとても重要な選考要件となります。
しかし、面接の場面で、会社の「アイデンティティ」に関する質問を投げかけると、あたりさわりのない抽象的な表現で受け応えする人が多くいます。
おそらく、経営理念や事業計画に目を通しているのですが、それらを実現するために自分の存在価値をすり合わせずに面接に臨んでいるからでしょう。
私の経験的な実感ですが、全体の約8割の人がそれに該当する印象があります。
少なくとも、経営理念と事業計画を理解し、自分のキャリアと重ね合わせる。
そして、自分がコミットできる成果を経歴を背景として明確に伝える。
この2つはとても大切なチェックポイントです。
しっかり時間をかけることで、選考における上位に残る可能性が高まります。
2.「再現性のある仕事力」を正確に伝える
「私がリーダーシップをとって、履歴書に書いたプロジェクトをまとめあげました。」
「複数の部署との調整を上手にとりまわり、目標を達成しました。」
面接でこういう受け答えは、あまり良い印象につながりません。
新卒採用の面接で、なぜかサークルの副代表が増えるのと同じ印象を受けるからです。
望ましい受け答えは、つぎのステップで整理できます。
- プロジェクトや目標のレベルや困難さ
- 関係した人数
- 自分の立ち位置(役割)
- 壁となったできごと
- それを乗り越えたきっかけ
- 自分が学んだこと、獲得したスキル
企業は、40歳を過ぎた人を採用するとき、その人がもつ「どの会社でも通用する実務的なスキル」を重視します。
それゆえ、応募者は、自分が持つ「どこでも通用する実務的なスキル」を上記の6つの観点から伝えることが大切です。
「どこでも通用する実務的なスキル」は、「再現性のある仕事力」につながります。
たとえば、上記の6つの観点に基づいて自分の業績を整理すると、実務を通して発揮した課題提起力、課題設定・遂行力、課題解決力について正確に伝えることができます。
企業は、経験や実績を通して、転職後の再現性の可能性を感じることができるため、中途採用したい人材としてマークするのです。
3.「協働力」を正確に伝える
面接で「再現性のある仕事力」を伝えることに加えて、「組織の一員として、協力して働く力」についても、自分の言葉で伝えることが大切です。
具体的には、「再現性のある仕事力」を整理するための6つの観点を応用して、協働して働くことに貢献できる人材であることを実績を通して伝えるのです。
「チームワークを大切にして」と単に伝えるだけではなく、自分がチームワークを発揮した事例をありのまま伝えてみることで、迫力をもって相手に伝わります。
どんなに「再現性のある仕事力」がある人材だと感じても、「協働力」が不足していると感じる場合は選考に残る可能性が低くなります。
したがって、人間力にも通じる「協働力」を振り返ることは大切になります。
4.まとめ
- 転職先の会社をよく知り、自分が貢献できることを明らかにすること
- 転職先の会社で発揮できる実務的なスキルを整理すること
- 組織で働くうえで必要となる「協働力」の実績を整理すること
これらの3点を中心に面接の準備をすれば、「自分の実績を伝える」だけではなく、「自分の可能性を転職先企業の目線で伝える」ことにあります。
きっと、何を聞かれてもしっかりと受け答えできるようになります。