45歳を過ぎたら、定年まで残された期間で、組織にどのように貢献するかを見定めるためにも自分のキャリアを振り返ることが大切です。
60歳定年とすると、残された期間は15年程度です。
今までのキャリアは、山あり谷ありだったかもしれませんし、順風満帆だったかもしれません。
人それぞれ、当然に歩んできたキャリアの軌跡は異なりますから、キャリアの振り返り方も、自分に合った方法が良いと思います。
一つひとつの出来事は、自分にとって良いことも悪いことも意味のあるものだったはずです。ゆえに、それを丁寧に掘り起こすことがとても大切だと考えるからです。
他方、その前に、自分の軌跡を俯瞰して捉えることに意味があります。
一つひとつの出来事を点で捉える前に、一定の期間に起こった出来事を総括し、それを一つのフェーズとして捉えて整理してみるのです。
【目次】
1.「4つのフェーズ」とは
私は、キャリアはつぎの「4つのフェーズ」のいずれかに分類できると考えます。
- 絶頂期:自分のキャリアが上手くいっていた期間
- 停滞期:自分のキャリアが上手くいっていなかった期間
- 転換期:自分のキャリアの流れが変わった期間
- 自己承認期:上記1~3の期間を経て自分のキャリアを自己承認できた期間
おおむね3年から5年を一つの期間として捉えてみて、それぞれの期間を、あえて「4つのフェーズ」のいずれかに当てはめるならば、どれに該当するかを整理してみるのです。
重複してしますが、それぞれのフェーズは、つぎのように捉えられます。
1)絶頂期:
やりたい仕事を任されて、バリバリ仕事をこなし、やることなすこと、何でも上手くいっていた期間。
2)停滞期:
たとえば、仕事上の失敗が原因で、仕事がうまく回らなくなり、打つ手がすべて裏目に出て、成果が上がらなくなってしまった期間。
3)転換期:
たとえば、成果が上がらなくなったことが契機となって、人事異動によって、まったく異なる業務に配属替えがあり、キャリアの方向性が変わった期間。
4)自己承認期:
配属替えの仕事を通して、上手くいっていたときと上手く行っていなかったときの経験が活かすことができ、自分の軌跡を認められるようになった期間。
自分のキャリアを振り返る際、4つのフェーズすべてが存在しないこともありえます。たとえば、「停滞期」や「転換期」がないこともありえるのです。
繰り返しになりますが、大切なことは、自分のキャリアを俯瞰して捉えることです。そのための「目印」として、「4つのフェーズ」への当てはめるのです。
2.俯瞰することで得られること
当てはめることで、自分のキャリアの軌跡が、概ねどのようなフェーズで構成されているか把握することができます。そして、そのフェーズごとに、その当時の自分の気持ちも把握することができます。
たとえば、「転換期」。
人事異動に納得がいかず、思い切って転職してみた。しかし、想像していた職場ではなく、失敗したと感じてしまった。やりきれない気持ちを抱きつつ、行動と意識を変えてみた。
上記のように総括すると、その当時、自分が感じた自分の気持ちと向き合うことができます。
そのうえで、どのような出来事が、自分の気持ちに影響を与えたかという視点で、一つひとつの出来事を掘り下げてみるのです。
自分のキャリアを、「4つのフェーズ」によって整理して、全体をつかむことで、一つひとつの出来事を、より鮮明に解釈できるようになります。
「全体」⇒「個別」の流れで振り返ることで、自分のキャリアをより丁寧に掘り下げることが可能になるのです。
3.まとめ ~ 主語を「自分」に ~
「4つのフェーズ」によって分類すると、自分のキャリアに占めるそれぞれのフェーズの割合を認識することができます。そこから、自分のキャリアの軌跡(どのようなキャリアを歩んできたか)を総括できるのです。
おぼろげながらに、その要因も見えてきます。
要因が見えてきたら、そのとき「自分」はどのように動いたかを掘り下げてみることをお勧めします。
他ならぬ自分のキャリアの振り返りです。
主語を「自分」にすることで、より深く自分のキャリアを掘り下げることができます。
そうすることで、自分の存在価値と組織に貢献できる自分の的確な再発見につながるからです。
自分のキャリアです。主語を「自分」にすることが、大切だと考えています。