職務経歴書に自分の業績を書くにあたって、自分の強みと弱みを客観的に把握できずに困っているという方から相談を受けました。
職務経歴書には職歴と業務内容とそこで挙げた業績を端的に書くことが必要で、自分の強みと弱みを関連づけることが、自己アピールにプラスに働きます。しかし、それを客観的に捉えることは案外難しいものです。
とくに職務経歴書には、自分のプラス面をクローズアップさせるため、強みについて自分の言葉で言語化できても、弱みについてはそう簡単ではありません。自分が達成した業績においても弱みの部分が存在しているものの、強みに相殺されて見えづらくなってしますからです。
自分の強みと弱みを客観的にとらえることができれば、職務経歴書も説得力のある内容に仕上げることができますし、面接の準備にもつながります。
そこで、今回は、転職の準備にも活用できる自分の強みと弱みを客観的にとらえるための3つの視点について、今日から3回に分けてお伝えしていきます。
【目次】
自分の業績をプロジェクトベースで整理する
強みと弱みを把握するためには、自分の業績を丁寧に棚卸することが必須です。
たとえば、「給与制度の改定」という仕事を仕上げたとした場合、いくつかの仕事が組み合わさって達成されるわけです。この「いくつかの仕事」をプロジェクトとして、携わった仕事を洗い出すのです。
「給与制度の改定」ならば、①制度改定に至る改定内容の設計、②制度改定に必要となる情報収集、③労働組合等との交渉、④必要な規程類の改正、⑤会社内への説明といった単位の仕事が上げられます。要するに、仕事を完成させるまでのプロセスをプロジェクトに見立てて洗い出すのです。
自分の強みと弱みを客観的にとらえるためには、このプロセスを丁寧に棚卸することが土台となります。
コンセプチュアル・スキルという視点
40歳を過ぎた転職では、仕事の仕組を創り上げる役割が期待されます。仕事の仕組みを創り上げるということは、会社に新しい付加価値を与えるきっかけを創ることを意味します。社会人としての経験や積み上げてきた能力・スキルをもとにした貢献が期待されるのです。
第1の視点は、仕事の仕組みを創り上げるコンセプチュアル・スキルという視点です。
コンセプチュアル・スキルは、つぎの観点(7つの力)で捉えてみることをお勧めします。
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論理構成力
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俯瞰力
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問題発見・解決力
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発想力・イノベーション力
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意思決定力・決断力
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変化対応力(柔軟性)
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推進力
プロジェクトベースで棚卸した仕事の一つひとつを、この7つの力に基づいて、自己評価してみます。どのように7つの力が発揮されたか、「◎、〇、△、×」や、点数化してみると、その濃淡が明確になります。
漠然としたことを言語化することは何事においても難しいのですが、濃淡が明確になることで、漠然としたものが判然としてきます。
コンセプチュアル・スキルにおいても、自分の強みと弱みが可視化されることで、どのような状態であれば、自分が業績を上げて貢献してきたか一目瞭然となります。可視化されることで、漠然としていた強みと弱みが明瞭になります。明瞭になれば、それを自分の言葉で表現することは難しくはありません。言語化するために必要な具体的な事実とそれに付随する発揮したチカラを組み合わせて、自分の経験を踏まえた表現にすればいいだけだからです。
まとめ
今回お伝えしたプロセスは一見遠回りのように感じられるかもしれません。
しかし、自分自身が自分のことをしっかりと知っておかなければ、自分のことを他人に伝えることはできません。
「自分の経験を踏まえた表現」による言語化された自分の強みと弱みは、自分のことをしっかりと振り返った末に出てきたものです。それゆえ経歴や業績としっかりと連動していることが明らかになっていて説得力があるのです。
このプロセスをしっかり取り組むことで、自分のキャリアの転換期を実りあるものにできます。
予告
明日は、第2の視点として、ヒューマン・スキルについてお伝えします。