7月20日に、キャリアの転換期における迷い(転職しようか、今の会社にとどまるか)から抜け出すことをテーマにしたセミナーを開催しました。
そのセミナーに、新卒学生の人気ランキング上位にランクインしている大手企業に勤務されている方が2名いらっしゃいました。(以下、YさんとKさんと言います。)もっとも、セミナーの時は、Yさん、Kさんが大手企業に勤務されていることはわかりませんでしたが、後日行った個別フォローアップセッションのときに、はからずもそれぞれから勤務先のことをお伺いして初めて知ることになりました。
Yさん、Kさんに共通することは、社会人になってから同じ会社に勤務されていることと、早期退職の候補者ではないこと。転職経験が一度もなく、かつ、会社でバリバリに活躍されているビジネスパーソンであるとうことです。
大手企業であれば、安定しているし、社会的なステータスもあります。しかし、大手企業であるがゆえのキャリアの悩み、不安もあるものです。
45歳からのキャリア再構築の専門家からすると、Yさん、Kさんがセミナーに参加された気持ちがよくわかりました。
40歳を過ぎて、一つの会社にずっと勤務している人が、社会人としての折り返し地点に立つとき、「このままでいいのだろうか?」という自分に対する疑問を持つことは自然にあることだからです。それと同時に、この疑問に対して、一人で悶々と考え込むよりも、第三者の客観的な見立てが欲しくなるからです。
そこで、今日から3日連載で、「40歳を過ぎて、初めて転職を考えるときの心構え」をお伝えしていこうと思います。今日は、連載第1回目、「不安の正体を明らかにする」です。
大手企業に勤務することの不安
大手企業であるがゆえに、仕事の進め方は大きく変化しています。それゆえ、「自分がどのように評価されているかがわからない」「自分が会社に貢献できているか実感が持てない」「自分の仕事がいつまであるかわからない」といった不安を抱えることが往々にして起こり得ます。40歳を過ぎると、仕事の経験値も上がり、それに相応しい仕事を任されたくなるものです。しかし、仕事の全体を任されることなく、一部を任されてしまうと、とたんに自分の仕事の意義や価値を感じにくくなってしまいます。私は、大手企業に勤務することの不安は、自分の仕事の存在価値の捉え方が大きな影響を与えていると考えます。
大手企業に入社しても3年から5年で退社してしまう人もいますが、若い頃であれば、どのような仕事を任されても、それが自分の成長につながる実感をもつことができます。そして、そのことが仕事の意義や存在価値と直結することが多いため、不安を感じにくくしていると言えるのではないでしょうか。
「得ることと失うこと」を明らかにする
40歳を過ぎて、転職しようか否かで迷っていたYさん、Kさん。
セミナーの冒頭で、転職することで得られることと失うことを、仕事と私生活の2つの側面から、紙に手書きで書き出していただきました。
不安や悩みを抱えたときは、頭の中がそのことで脳が思考停止状態に陥り、機能不全を起こし、冷静な判断ができなくなります。冷静な判断ができない状態が続くと、それが不安や悩みを増大させることになり、いわゆる「マイナスのスパイラル」につながっていきます。
それゆえに、転職という意思決定をすることで、自分が得られることと失うことを、紙に書き出すことで、脳内に余白を作り出すことができれば、脳が思考停止状態から抜け出すことができます
Yさん、Kさんともに、紙に書き出すことで、共通した感想を持たれました。
「転職することが必ずしもすべてではないな。」
「職場に問題があると感じていたけれども、実は自分自身の問題なのかもしれない。」
Yさん、Kさんともに、転職することで得られることと失うことを紙に書き出すだけで、自分が転職することを本当に求めていたわけではないことに気がついたのです。
まとめ
40歳を過ぎて、初めて転職を考えるとき、自分が本当に求めているキャリアのあり方がわからなくなっていることがその原因です。
紙に転職によって得られることと失うことを書き出すことは、自分のキャリアのあり方を見定める第一歩になります。
シンプルなことですが、キャリアの転換期の重要な意思決定において、欠かすことのできないチェックポイントです。
時間をかけて、是非、試してみてください。
本日も、お読みいただきありがとうございました。