部下の気持ちを理解することが大切であることを昨日お伝えしました。
そして、上司も部下も「人」ですから、接する機会を意識的に増やすことで、理論だけではなく、気持ちとしてもわかりあえるようになります。
どうすれば部下とコミュニケーションをとりやすくなるのか?
この課題に、頭を悩ませている上司は多いのではないでしょうか。
部下に言われた一言
私の経験で記憶に強く残っていることがあります。
それは、若手の部下が自社の研修体系のたたき台を概念図として提案したときのことです。
たたき台そのものは、きれいにまとまっていたものの、その背景の意図が私には不明確でした。
一通り話を聞いた私は、たたき台に対して、考える余地がある点をコメントしました。
「研修を通して、どういう人材育成を目指しているのか」
「この研修によって、組織が得られる価値はなにか?」
「具体的にどのようなプランで推進していくのか?」
自分としては、よりよい研修体系にするための論点整理をしたつもりだったのです。
しかし、私のコメントを聞いた後、提案してくれた若手社員の表情は曇ってしまいました。
そして、曇った表情をしたまま、半ば感情的に反論してきたのです。
そのときは打ち合わせを続けましたが、お互いに論点がかみ合わず、なんとなく「モヤっと」した雰囲気のまま、一旦話を打ち切りました。
話を打ち切った直後、同席していた中堅社員に、私は問いかけました。
「なんか妙な雰囲気だったよね。何でだと思う?」
中堅社員は、私にこう伝えてくれました。
「寄り添おうとしないから、わかりあえないんだと思います。」
寄り添っているつもりが伝わらない哀しさ
「寄り添おうとしないから、わかりあえないんだと思います。」という一言は、抽象的な表現でしたが、私には衝撃でした。
なぜか。
ズバリと自分の内心をついていたからです。
私は、若手社員から提案された「たたき台」を、より良くしたいと考えてコメントしたものの、その言葉の裏には、つぎのような自分の感情が隠れていたことに気づいたからです。
「もう少し考えようよ。」
この自分の感情は、無意識に、若手社員の「できていない」ことにフォーカスしていたことに気づいたのです。
寄り添っていたつもりが、まったくの逆効果だったのです。
自分の意思が伝わらない哀しさを痛切に感じました。
私に欠けていたこと
人は、長所よりも短所を見つけやすいものです。知らず知らずにネガティブフォーカスしてしまうのです。
思い返すと、私は、若手社員が提案してくれた「たたき台」について、「できていること」に着目していませんでした。
「できていないこと」という短所に、無意識に、目が行ってしまったこと。
これが、上司として私に欠けていたことでした。
「寄り添おうとしないから、わかりあえないんだと思います。」
上司としての私にかけていたことを気づかせてくれたのです。
まとめ
「どうすれば部下とコミュニケーションをとりやすくなるのか?」
その答えは、「部下ができていることを見つける」ということです。
これは、簡単なようで、難しいことです。
アタマではわかっていても、「部下ができていないこと見つけて」しまいがちだからです。
しかし、「できていることを見つける」すれば、良いところを見つけることができます。良いところを見つけることができれば、コミュニケーションを取るときに、ポジティブなテーマで話をすることができるようになります。
ポジティブなテーマは、部下とのコミュニケーションを暖かなものにしてくれ、会話が続くきっかけになります。
したがって、部下とのコミュニケーションをとりやすくしたいのならば、「部下ができていること」を見つけることです。
少しずつでも、意識する機会を増やせば、見える世界が変わります。
今日は金曜日。週末です。
来週月曜日から試せるように、週末に「部下ができていること」を見つけてみませんか?
本日も、お読みいただきありがとうございました。