「仕事をしていると、考えが煮詰まって、思考停止してしまうことがあります。」
「そういうとき、どうすればいいですかね?」
今日、小野木さん(仮名)から相談を受けました。
小野木さんは、自分が抱えているプロジェクトを立ち上げるため、ここ数週間の間、課題に取り組み続けていました。そのプロジェクトは、小野木さんが自分の発意でスタートさせたもので、すべての権限は彼に委ねられている大きなプロジェクトです。
「考えをまとめようと思うんですが、後から後から考えがわきでてきて、とてもまとめきれないんです。」
「つながりがこれでいいのか。いつもは仕事を仕上がりを上司や同僚にチェックしてもらうんですが、このプロジェクトはすべて自分の責任で進めなければいけなくて。」
「やっていて楽しいですよ。楽しいですけど、自分の考えていることがズレていないか、気になるんですよね。」
小野木さんが私に相談してきたのは、自分の考え方を客観的に見てみたいという素朴な気持ちからだったようです。
そこで、私は、小野木さんの考えを一通り聞き、私が感じたポイントをいくつかフィードバックすることにしました。
他人の視点で問いを立てる
小野木さんは、自分のプロジェクトを進めるにあたって、プロジェクトの目的をきちんと捉え、自分なりの問いを立てていました。
課題が何であるか
課題を解決する仮説をどのように組み立てるのか
実行策をどのように進めるか
実行後のモニタリングはどうするか
小野木さんの問いに対する取り組みに大きな「抜け」はない、と私は感じました。
しかし、私の視点で問いかけてみたことがありました。
一例をあげてみます。
「小野木さん、この表ですが、どういう意図があって資料に入れたんですか?」
「私には、この表から伝わることが、今一つピンとこないんですよ。」
小野木さんは、こう答えました。
「この表は、プロジェクトを推進するために、予算規模を示すためのものです。入れておかないと意味が通じないと考えたんですよ。」
私は再び問いかけました。
「いや、この表なくても、口頭で説明することでいいんじゃないですか?」
小野木さんは、この問いかけに即答しませんでした。
そして、しばらくして、こう答えてくれました。
「たしかにそうかも。いれるのが当たり前と思っていたから、なんとなく入れたかも。プロジェクトを推進するためには、必ずしも入れなくていいような気がしてきた。」
そして、こう続けてくれました。
「自分の考えにこだわりすぎていましたね、私。桜木さんに問いかけてもらって、じつは深く考えずに、なんとなく資料に入れていたことに気づきました。」
「他の人と話をすると、煮詰まっていたことが、少しずつ解消されるますね。」
思考の枠が外れることの効果
私は特別な問いかけをしたわけではなく、ただ私が疑問に感じたことを問いかけたにすぎません。いわば、シンプルな問いを投げかけたにすぎないのです。
しかし、小野木さんにとっては、思考の枠が外れる効果につながりました。
自分が一人で取り組むタスクや課題は、自分がその結果責任を負うことになります。それは、相応のプレッシャーがかかると、私は考えます。
プレッシャーは、独力でなんとか切り抜けようという思考につながります。その結果、時として視野が狭くなってしまうことがあるのです。
視野が狭くなっているときは、他者からのシンプルな問いに対して答えることで、視点が変わり、思考の枠が外れ、考えが広がるという効果を生み出します。
考えが広がるということは、より質の高い考えにつながっていくことを意味すると、私は考えます。
まとめ
冒頭に書いたとおり、私が小野木さんに投げかけた問いは、フィードバックにあたります。
フィードバックは、他者からの問いにより自分の考えや行動を振り返ることを意味します。
振り返ることは、よりよい考えや行動につながります。つまり、フィードバックは積極的に活用することがお得だということです。
小野木さんも私と話をすることで、フィードバックの効果を体感されたようです。
一通り話が終わり、小野木さんが私にこう伝えてくれてました。
「おかげで、プロジェクトを進めることに自信が持てました。やっていけそうです。」
小野木さんとのやりとりを通して、自分に対するフィードバックを積極的に活用すると、自分がよりパワーアップするということを再認識しました。
そして、お役にたてたことを、嬉しく感じました。
フィードバックを積極的に活用すると良いことが起こりますよ。
本日も、お読みいただきありがとうございました。