40歳代で組織のマネジメントを任されるとき、部下とのコミュニケーションに苦悩することがよくあります。自分が若い頃と比較すると、ハードマネジメントには打たれ弱い20代・30代の部下とのかかわり方は難しいと感じてしまうからです。
自分たちも若かった頃は、「最近の新人類は考えていることがよくわからない」と言われたことを忘れたわけではないものの、若い世代のことを「今どきの若い人は・・・」と一般化して捉えてしまうことは往々にしてあります。
しかし、20代・30代の人の方が40代の自分よりもしっかりとした価値観をもっていたり、ロジカルに物事を考えていたりすることもあります。
言うまでもなく、「今どきの若い人は・・・」というように一般化して捉えることは望ましくないと思うのです。
管理部門系の仕事に携わる20代・30代の部下とのかかわり方に難しさを感じている場合、その主た原因は、「ことば足らず」にあると、私は感じています。「ことば足らず」であることが、20代・30代の部下を混乱させてしまっていることに気づくことが、40代で組織のマネジメントを任された者の責務であると考えます。
あと一言が足りない
よくありがちなのは、仕事の完成品質と納期について、「ことば足らず」であることです。
「仕事の完成品質を上司である自分がどのように設定しているか」を明確に伝えきれていないという「ことば足らず」。
「いつまでに完成させてほしいか」をはっきりと伝えて切れていないという「ことば足らず」。
「ことば足らず」を引き起こす要因は、「そのくらいのことは自分で考えればわかること。もっと言えば、上司である自分の言動を察すれば、おのずとわかるはず。」という上司のエゴにあります。端的に言えば、忖度(そんたく)しろと言っているようなものです。
どんな仕事にも職人的な部分があることも要因の一つだと考えますが、「仕事の完成品質」と「納期」を明確に、はっきりと伝えることで、部下が自らの裁量の枠を考えて仕事をするようになります。部下が自律的に動くための下地になるのです。つまり、部下が成長する機会をつくっているとも言えます。
自分も安心して仕事ができる
あと一言をつけくわえるだけで、部下の成長につながることのほか、自分も安心して部下に仕事を任せることができます。完成品質と納期の管理は上司の責任ですが、適切に部下と責任分担が図れ、上司が動く範囲が明らかになるからです。
さらに、上司と部下との間で共通認識を持てるようになるので、コミュニケーションギャップが生じにくくなります。共通のゴールを目指して働くことができるようになれば、その過程で考えや意見のぶつかり合いがあったとしても、建設的に解決することができます。「上司は考え方が古いから・・・」や「今どきの若い人は・・・」というようなお互いを揶揄し合うようなコミュニケーションはなくなるはずです。
「あと一言が足りない」を解消することで、ハードマネジメントすることがなくなります。それは、上司の精神的な安心感にもつながるのです。
まとめ
40代で組織のマネジメントを任されるとき、部下とのかかわり方でしくじると、組織の中での存在価値を失いかねません。20代・30代の部下が自分で考えて動いていないと感じるならば、自分のかかわり方を振り返ってみることをおススメします。
もし、「仕事の完成品質」や「納期」について、きちんと部下に伝えきれていないと感じるならば、これらについて「あと一言」きちんと伝えることを始めてみると良いと思います。
上司である自分の心がけ次第で、部下とのコミュニケーションギャップが解消され、部下の自律的な働き方につながるならば、組織の生産性も上がるはずです。そして、その結果として、40代で組織マネジメントを全うすることにつながり、組織における存在価値を勝ち得ることにもなるでしょう。
ためしてみる価値は大いにあります。