年齢にかかわらず自分が評価されていないと感じることは避けたいものです。45歳を過ぎて、組織のなかで自分が評価されていないと感じると先行きが暗くなり行動力が一気に落ちます。
行動力が一気に落ちると、それに連動してパフォーマンスも落ちていきます。組織における存在価値も同様に落ちるため、自分が評価されていないと感じるときの対処法がキャリアに与える影響は思いのほか大きなものであることを自覚する必要があります。
自分が評価されていないと感じるときは、自分のキャリアにおける「どんぞこ」を体験していることとも言えます。「どんぞこ」にいるときは、なにをやってもうまくいかないと感じたり、そのように自分が自分を評価してしまうことにも自己嫌悪感をもってしまいがちです。
こういうときの対処法は、自分の心の持ちようというよりも、「どんぞこ」を乗り越えた人の体験談に目を向けると勇気がでてくると思います。
先日終了したテニスのウィンブルドン2018。この大会で活躍した2名の選手の体験が参考になると感じました。
今回は、一流のトップテニスプレーヤーに学ぶ、「どんぞこ体験」の乗り越え方についてお伝えしたいと思います。
最長試合の勝者、アンダーソン選手に学ぶ
男子シングルスの決勝に初めて進んだアンダーソン選手。準決勝で大会史上2番目に長い6時間36分の試合を制しました。
最終ゲームで49ゲーム目でアンダーソン選手は相手選手のサーブをレシーブした際に足がふらつき倒れ込みました。しかし、直後自分の利き腕ではない左手で相手の球を打ち返し、そのポイントを取りました。これが勝利につながったようです。
産経新聞の記事に印象的な談話が載っていました。
「肘の手術を受けた若い頃、4~5か月、左手で練習したことがある。まさか、こんな場面で生かされるとは。」
肘の手術を受けたときは、テニス選手としては「どんぞこ」だったのではないでしょうか。しかし、そのときに自分ができることとして、利き腕でない左手で練習したことが大きな試合の勝敗を分けるポイントに活きたという点は学ぶべきことだと思います。
「どんぞこ」のときに、自分ができることを未来の自分のために実行する。
アンダーソン選手の談話から学ぶことができます。
女子優勝者、ケルバー選手に学ぶ
2016年に女子世界ランキング1位になったケルバー選手。グランドスラム大会を2つ制しましたが、2017年は不調に陥りました。
2017年の不調、いわゆる「どんぞこ」のときに、思い切って自分のプレースタイルを見直し、プレーのみならず生活リズムについても変えたようです。その甲斐あって、2018年のウィンブルドン大会で強敵であるセリーナ・ウィリアムズ選手に快勝。見事復活を果たしました。
産経新聞のケルバー選手の談話は、「どんぞこ」の過ごし方として大いに参考になるものと感じました。
「こんなに力強く復活するとは誰も思っていなかったはず。多くを学んだ17年がなければ、この優勝はなかった。」
”屈指の守備力だけに頼らず積極的に攻めに転じる意識で、強打を誇る相手のミスを誘発。改良を重ねて速度を増したサーブも「大事な場面で鍵になった」と効いた。”
「どんぞこ」のときに、自分が築き上げてきた大切なプレースタイルを変えることは、勝ち残るための自分の価値観を柔軟に変えることと同じだと感じました。ケルバー選手は、自分が目指すことはもう一度トップになることと考えていたと思います。そのために自分自身を見直し、思い切って「変わる」ことを選択する。
「どんぞこ」のときに、自分の価値観を見直し、自分が「変わる」ことを意識する。
ケルバー選手の姿勢から、学ぶことができます。
まとめ
一流のトップテニスプレーヤーでも、自分が評価されないという「どんぞこ」を体験するわけです。ビジネスパーソンも同じように自分が評価されないという「どんぞこ」を体験したとしてもおかしくはありません。
したがって、「どうして自分が「どんぞこ」を味わうんだ・・・。」と思い悩む時間はなるべく短くして、「どんぞこ」に向き合うことが大切だと考えます。
二人の一流トップテニスプレーヤーに共通することは、自分の目指すことを踏まえて、「自分ができることに集中する」ということだと感じました。
「どんぞこ」のときに、自分ができることを未来の自分のために実行する。
「どんぞこ」のときに、自分の価値観を見直し、自分が「変わる」ことを意識する。
この二つのことを頭の片隅においておけば、「どんぞこ」体験をバネに、自分のキャリアを広げることができると考えます。
45歳を過ぎたとき、このように自分のキャリアに向き合うと、必ず道は拓けてきます。そして、そのことが組織における存在価値につながります。
今回ご紹介したことが参考なれば幸いです。