3年前に47歳で転職を支援したSさんにお会いしました。Sさんは現在50歳。転職後の会社でイキイキと働いている様子を確かめることができて、安心しました。
3年前を思い出し、当時どんなことを考え転職を決意したのか、あらためて伺いました。
出向先から戻ってきたら、1つ下の後輩が課長級のポストに就いたんです。女性管理職を増やすことが求められていたので、やむを得ないと理解しようとしました。
でも、出向先での自分の働きぶりは評価されていなかったんだという思いが日に日に増してきてしまったんです。
もともと、50歳になったら会社を移ろうと考えていました。ちょうどそのとき、出向先の会社からオファーをいただき、「求められている自分」を感じました。
自分の気持ちを整理するのに時間はそれほど必要ではなかったです。
なにより、「求められている自分」を確かめられたからです。
【目次】
Sさんが転職をしくじらなかった理由
47歳での転職。Sさんは48歳で出向先で課長級のポストに就き、50歳で年収も転職前の水準を超えたとのことですから、成功した転職例と言えます。
Sさんが転職をしくじらなかった理由は、つぎの3点です。
- 財務・経理の専門家であったこと
- 出向先で真摯に仕事に取り組み、人脈を築いたこと
- 転職する判断基準にブレがなかったこと
第一に、Sさんは、財務・計にかかわる基礎的な力、業務遂行にかかわる専門力 とそれに基づく再現力という人材力を構成する基本的な能力がしっかりと備わっていたことがあげられます。それは、ある特定の会社でのみ通用する能力ではなく、他社でも通用する能力であったことも転職が成功した理由にプラスに働いたのでしょう。
第二に、47歳での出向でも、真摯に仕事に取り組み周囲の信頼を得たことがあげられます。仕事に向かう姿勢のみならず、環境が変わった時でも周囲と協業できるチカラは、Sさんの人間力によるものです。第一の理由に加えて、この人間力も転職を成功に導いた大きな要因だと感じました。
最後に、退職の意思表示後に引き止められても、「求められている自分」という転職する判断基準をブラさなかったことがあげられます。自分の経験やスキルを、求めらえている場所で発揮するという仕事にかかわる価値観を大切にされていたことが、Sさんの人間力の大きさを表していると感じました。
Sさんの転職を成功に導いたものとは?
- 財務・経理の専門家であったこと
- 出向先で真摯に仕事に取り組み、人脈を築いたこと
- 転職する判断基準にブレがなかったこと
今回、Sさんとお会いしたとき、転職をしくじらなった3つの理由に加えて、初めて知ったことが一つあります。
実は私の転職がうまくいったのは、転職する前の会社に対する「見返してやる!」という怒りのパワーをポジティブに活用したことかもしれません。
Sさんは、自分を奮い立たせるために、「見返してやる!」という内なる思いを表に出すことなく持っていたことと、私にはカッコ悪い男と思われたくなかったから話さなかったと、話してくれました。
「見返してやる!」という内なる思いが、「転職を成功させる」という覚悟につながったと感じました。
キャリアの転換期においては、「覚悟」の程度が成功を左右するということをあらためて認識しました。
まとめ
45歳を過ぎた転職市場は厳しい状況であるものの、人材力に汎用性があるならば、可能性が広がります。
【人材力】=(【基礎力】+【専門力】+【再現力】)×【人間力】
人材力を構成する4つのチカラを公式化したものですが、【人間力】に加えて「覚悟」という要素が必要であるとSさんの話を聞いて改めて痛感しました。
【人材力】={(【基礎力】+【専門力】+【再現力】)×【人間力】}×【覚悟】
覚悟の程度で、人材力も大きく変わることをSさんから教えていただきました。
「転職して、キャリアを変えることについて、どんな覚悟があるか?」
45歳を過ぎた転職では、この質問を自分に投げかけてみることが必要だと感じました。