「また人事異動ですか。結局私は「根なし草」ですよ。」
「どこに行っても、「イチ」から修行のやり直しで、イヤになります。」
人事異動は、(1)人材育成、(2)事業成長、(3)人材の活性化と大きく3つの目的があると考えています。
人事異動は、比較的短いスパンで行われることがあります。
より多くの経験を積むことを目的とした人事異動(人材育成)や、業績の拡大や回復を目的とした人事異動(事業成長)がそれに該当します。
一方、配置のミスマッチを解消することを目的とした人事異動(人材の活性化)は、人事異動を受ける側にとっては、不満要因として受けとめられがちです。
たしかに、何度も人事異動させられると、自分の専門性が確かめられなくなりますし、期待されていないという感覚に陥ってしまいがちです。
今回は、そういう悩みへの対処法について、お伝えします。
【目次】
1.なぜ自分は何度も異動させられるか、考えてみる
自分の人事異動が、人材育成や事業成長を目的とした人事異動でないと感じる場合、配置のミスマッチを解消することを目的としていないか、考えてみることが大切です。
なんとなく、自分でも感じ取れている場合もあり、それを受けとめることは辛いことです。しかし、この場合、配置のミスマッチにつながると思わえる要因が、どこにあるかを考えてみるのです。
端的にいうと、自分の言動が配置のミスマッチにつながっていないか、確かめることが必要になります。
1.上司や同僚と幾度も衝突して、うまく仕事が進められないことがなかったか。
2.いつも自分ばかり損をしていると感じることがなかったか。
3.同じミスを何度も繰り返してしまうことがなかったか。
「自分は悪くない、相手が自分を理解してくれないからだ」と感じることもあるかと思います。
しかし、自分では気づかない言動が、職場の雰囲気に負の影響を与えていることがありえます。このような場合、現場から人事部門に対して、配置のミスマッチを解消したいと申し出がある場合が多々あります。
2.思い当たることがある場合
上記にあげたことに思い当たることがある場合、自分が改めるべき言動を掘り下げる必要があります。
1.上司や同僚と幾度も衝突して、うまく仕事が進められないことがなかったか。
⇒ そのときは、何に対して衝突していたか。
⇒ どのような話し方をしていたか
2.いつも自分ばかり損をしていると感じることがなかったか。
⇒ その時は、どういう役割を与えられていたか。
⇒ どのような態度だったか。
3.同じミスを何度も繰り返してしまうことがなかったか。
⇒ その時は、どういうミスだったか。
⇒ どうしてミスをしてしまうと思うのか。
3.思い当たることがない場合
思い当たることがない場合、率直に人事部門や上司に相談してみることが大切です。
奥歯に物がはさまったような回答があるかもしれません。しかし、それを額面通りに受けとめるとともに、自分に改善すべきことがないかを今一度振り返るのです。
それでも、納得がいかない場合は、配置のミスマッチというよりも、雇用のミスマッチである可能性が高いと思われます。
現状のまま何度も人事異動させられる会社人生を、自分が受けとめることができるか、自らに問いただしていかなければなりません。
4.まとめ
人事部門に携わっている私の個人的な経験では、何度も人事異動が繰り返される人の多くは、職場におけるコミュニケーションに問題がある場合が多いと感じます。
職場における人間関係は、業績に影響を与えます。コミュニケーションに課題がある場合、業績低下を招きかねません。
もちろん、人事異動する前に上司からのアドバイスが必要になります。それがなければフェアではないでしょう。しかし、それがあっても解消しきれないことが実際は多いのです。したがって、人事異動によってそれを解消しようとするのです。
したがって、何度も人事異動させられることで悩んでいる場合、上記2と3を参考にして、自分を振り返ってみることをお勧めしています。
見たくないこと、触れたくないことに気づいてしまうかもしれません。しかし、それによって、自分を活かす機会や場所が見つかることの方が大切ではないでしょうか。
この振り返りは、自分の存在価値を自ら再発見することにつながると、私は考えています。