9月に開催したセミナーに参加いただいたTさんから、先日相談がありました。
Tさんは現在45歳。
社会人になってから1つの会社で勤務していたので、転職は初めての経験です。
「桜木さん、実は1社との面接が順調に進み内定をいただけそうなんです。」
「転職エージェントからも面接で高い評価が得られているので、是非内定承諾してください、と言われています。」
「内定をいただけることは、嬉しいのですが、一つ気になることがありまして・・。」
Tさんからの相談の核心は、転職エージェントからの連絡内容にありました。
心構えがないと動揺する
メールで届いた内容を、Tさんが示してくれました。
■内定について
オファー面談後に内定を承諾するかどうか、はT様のご判断にゆだねられます。
内定承諾後の辞退については契約となりますのでご辞退を承ることができません。
順調に内定を獲得できたのは、Tさんのビジネススキルの高さに加えて1つの会社で長く勤務していた実績があることに加えて、1社で長く勤務してきた実績が評価されたことにあります。
しかし、転職経験はゼロです。突然、内定承諾を迫られ、かつ、頼りにしていたて転職エージェントからの連絡に、Tさんは動揺を隠しきれませんでした。
「契約となりますので辞退を承ることができません」とは?
内定を承諾するということは、転職先の会社との間で期限の到来する前段階の雇用契約を締結することを意味します。それゆえ、社会人として責任をもって内定承諾に臨むことが必要です。
もっとも、「契約となりますので辞退を承ることができません。」とは穏やかではありません。
事実、Tさんも内定承諾すると辞退できないと受け止め、決断するための心構えが揺らいでしまいました。
結論を申し上げます。
内定承諾した後に、個人的な事情により内定を辞退することは可能です。
転職エージェントからの連絡が何を意図したものであるかは不明ですが、内定辞退は不可能であるとの誤解を与える表現であると言わざるを得ません。
悪く解釈すると、「契約」としか文面に書いていないので、不完全な情報として伝え、なにか言われたときの言い訳の余地を残しているようにもうかがえます。
そして、転職エージェントサイドの都合を優先させているようにもうかがえます。
まとめ
転職エージェントから内定を迫られたとしても、その勢いに動揺することなく、自分で納得のいく結論を出したいという意思表示しましょう。
内定承諾は、企業と私人間の間で成立する期限が到来していない労働契約であり、双方からいつでも解約申入ができるものだからです。
ゆえに、「契約となりますのでご辞退を承ることができません。 」と転職エージェントから連絡があった場合は、その根拠を確かめてみてください。おそらく、答えに窮すると思いますから。
もっとも、企業からのオファーを受け入れるという意味において、社会人としての信義則を念頭に置くことが大切です。
入社つもりもないのに、内定承諾してキープしておくことは、その意味において望ましいものではないと、私は考えています。
転職とは自分のキャリアへの投資です。メリットとデメリットをしっかりと判断し、自分の幸せにつながる選択をしていただきたいと願っています。
本日も、お読みいただきありがとうございました。