サラリーマンであるかぎり、自分が想定しない人事異動を受け入れざるをえません。
日本の人事制度の仕組みが変わりつつあると言っても、その根幹は年功的です。そして、欠員が出た場合の補充は、玉突き人事で対処するという基本的な枠組みは残っています。
年度途中で急に人事異動を言い渡されるのは、自分が望む部署への異動ならばまだしも、配属されたくない部署への異動を受け入れるには時間が必要です。
私は42歳のときに自分がまったく希望しない部署への異動を命じられました。人事異動を予感していましたが、そのときは、左遷させられたと感じました。上司から、丁寧に人事異動の意味を説明されても、納得できませんでした。
それは、なぜか。
自分が会社に認めてもらえていなかったと強く感じたからです。
私は、人事異動が契機となって、43歳のときに転職というキャリアチェンジを選択しました。そして、その選択が適切であったと、自分が納得するまでに3年を要しました。
自分の仕事に対する価値観が見定まっていなかったからです。転職というキャリアチェンジを選択したことを失敗したと感じ、後悔の念に苛まれてしまいました。
急な人事異動を受け止めるならば、手元にヒントがあれば、乗り越えやすくなります。
そこで、今日から3回連載でヒントをお伝えします。
やりたくない仕事の意義
私が43歳で転職して最初に任された仕事は、自分の専門である人事の仕事ではありませんでした。まったく畑違いの仕事で、使われている用語すらわかりませんでした。
せっかく自分の専門性を活かそうと思って転職した私にとって、その仕事は「やりたくない仕事」でした。43歳にもなって、一から新しいことに取り組むことは不本意でした。
転職して間もなかった私は、このとき次のように感じていました。
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これじゃ、転職した意味がなかったな。
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でも、ここであらためて転職するという選択肢はないな。
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しかたがない、やるしかないな。
やむなく、その仕事に取り組んでみたところ、転職後のリアルな組織を知ることができました。
不本意な仕事を通して、自分の領域の広がりを実感できたのです。
知っている仕事と知らない仕事
もし、あなたが、急な人事異動で、かつ、それが自分の希望しない部署への人事異動であるならば、それを素直に受け入れることは簡単ではないことでしょう。
かつての私がそうであったように、ラインから外された、左遷させられたという思いを抱くこともあるでしょう。それはとてもつらいことです。
急な人事異動は、やりたくない仕事であることが多いものです。
そして、会社には、知っている仕事よりも、知らない仕事の方が多いものでもあります。
ゆえに、砂を噛むような思いをしても、つぎのように考えてみることです。
急な人事異動は、知らない仕事と巡り合う機会。
知らない仕事に向き合うことは、自分が対応できる仕事の領域を広げること。
自分が対応できる仕事の領域が広がれば、自分の存在価値も広がること。
今日は、自分が望まない仕事のとらえ方を変えることの大切さをお伝えしました。
明日は、チャンスを広げる自分スタイルの組み立て方をお伝えします。
本日も、お読みいただきありがとうございました。